今日はデュトワ先生の練習でした。今日は一日ストラヴィンスキーの交響曲ハ調の練習をしました。前に誰かの指揮で弾いた事があるのかもしれませんが、どこを弾いても弾いた覚えがない曲です。ストラヴィンスキーの曲は仕掛けが分かるまでは訳の分からない曲ですが、リズムの仕掛けが分かると面白い曲になります。
デュトワ先生は少し足を引きずっていらしてどうしたのかなと思いましたが、
練習は普段通りに順調に進みました。この曲は3部作(春の祭典、ペトルーシュカ、火の鳥)に較べると弾かれませんが、もっと弾かれても良い曲だと思いました。
練習のあと会議がいくつかあり、家に帰ったらグッタリ来ました。
家に帰って雑念のないスリッパの姿をみたらホッとしました。
昨日書いたSV-501 SEの事ですが、WEやPrime Ver.2なら問題はないそうですが他の管の場合は大丈夫とは言い切れないそうです。あくまでもレッドゾーンは危険区域なのですから自己責任とは言ってもあまり深く入り込まない方が身の為です。ある時突然管が死んでしまったのでは困りますから。デフォルトの状態に味付け程度に少し流し気味にする位に留めておいて下さい。(この裏技でステレオに対する不満を全て解決しようなどと思わないで下さい。色々な事をやってその集大成として良い音が初めて出てくるというものです。何かオールマイティなものを夢見て追い求めるのは危険です。)
明日からはデュトワ先生の12月の定期の練習が始まります。まず明日からはC定期、R.コルサコフの「ロシアの復活祭」、ストラヴィンスキーの交響曲ハ調、チャイコフスキーのピアノ協奏曲(ピアノ:上原彩子)です。今回は珍しく協奏曲がメインプロになっています。(私はチャイコフスキーは降り番です。)つまり前半を弾いたあと帰ることが出来るのですが、これはヴァイオリンの人にとっては何年に1度という出来事です。普通は最後に向かって編成が大きくなっていくものだからです。
今日はこのところ書いている裏技について書きます。これはSV-501 SEのプレート電流のコントロールです。
上の左の写真のようにするのがデフォルトなのですが、右の写真のようにレッドゾーンすれすれにするとIpが余計に流れます。デフォルトでは65mA、レッドゾーン入口で75mAだったと思います。皆様にはまずデフォルトの状態で聴いて頂いて、次にこのレッドゾーン入口の音を聴いて頂きたいのです。これによって音の重心がかなり下がっていくと思います。部屋とか組み合わせるCDプレーヤーの癖によってはレッドゾーン入口では重過ぎる場合もあるでしょう。それからIpを両者の中間(70mA)辺りにしてみたりして、ベストの状態を見つけて下さい。管によっては継続的にレッドゾーン入口で使うと寿命に影響のある場合があるそうなので、やり過ぎには充分ご注意下さい。(デフォルトの状態で使うように奨められているものをこのようにわざと動作点を外して使うのは寿命に影響があるので今まで裏技としかご紹介しなかったのです。逆にすればIpを少なくする事も出来ますが、さすがにこれはお奨め出来ません。)
私の家では1階が演奏と対峙する性格の強いシステムなので、
2階のリビングはそれと対照的なキャラにしたいという事もあってIpはデフォルトの状態で使う事にしました。私もSV-501 SEしか持っていなければ多分このIpを増やす裏技を使ったでしょうが、寛いで聴く事の多い2階ではIpはデフォルトで充分でした。(Ipをたくさん流した音はとても魅力的ですが、音楽と正面から対峙する音になってしまうのです。リビングの音としては深刻過ぎるというか立派過ぎるのです。)皆様もご自分の状態によって音はかなり変わってくると思いますので、とにかく音をお聴きになってからどうするかお決め下さい。私がサンバレーのショールームで聴いた状態ではかなり効果があったので皆さんにご紹介したのですが、条件は人それぞれですのであくまでも裏技としてお使い下さい。
私は皆さんと持ち物較べをする気など全然ありません。私は皆さんに弾き手はこんなもので毎日他人の演奏を聴いて楽しんでいるという事をお知らせしたくてご紹介しているのです。どうすれば生の演奏の感動を目の前に表出出来るかという事が私の主な関心事です。ご自分で充分満足出来る音が出せていらっしゃる方は無視して下さい。「もう少し良い音を!」と思われる方に何かのご参考になればと思って書いているのです。
1つの物をそれが本領を発揮するまで追い込んでみると、新しい発見があります。SV-9T+Rogers LS5/9などがその典型的例です。その意味では最初に買ってすぐ手放したB&WのCDM-9NTなど、一度も本領を垣間見る事がありませんでした。でも本領を発揮させるのにかかる手間を考えると、お金の点でも時間の点でもそこまでやっていられないという気になります。それに「金を払って買っているのに、なんで消費者が苦労しなければいけないの?」という気にもなってきます。ですから人が試して良かった事を上手に使わせていただく(悪く言えば人の上前をはねる)のが一番利口なやり方とも言えます。但し人のやった事をそのまま受け入れられるのかどうかは充分吟味する必要はあります。なにせWeb上の匿名の情報は玉石混交というか単なるゴミ石の場合が多いからです。ただで玉のような情報を得ようという考えがそもそも甘いのです。店の人と知り合いになってから初めて本当の事を聞けるようになるのです。結局幅広い知識を持っていて、柔軟な洗練された価値観を持っている人こそが財産なのです。
私はヴァイオリンを2台持っています。出来るだけ平均に弾くようの心掛けているのですが、片方に集中してしまう事がよくあります。そういう時に弾かなかった楽器を速く馴染ませる最善の方法はオケの中でその楽器を弾く事です。新しい楽器を馴染ませるのにもこの方法がとても有効です。自分の部屋で弾いて馴染ませて行くのの3倍位のスピードで馴染んでいきます。
この時大事な事はピッチがいつも一定になっている事、音量や表情がきちんとコントロールされた状態で弾く事です。(オケで弾くとこの条件がいつも満たされています。)つまりただ弾けば良いというのではありません。自動鳴らし込み器のような物が作られたりしていますが、単に同じ弾き方で弾くだけでは「やらないよりはマシかな?」という程度の効果しか期待出来ません。
同じ事がステレオにも言えるような気がします。楽器の板と同様スピーカーのエンクロージャーもいつも同じような音量と表情で鳴らしてあげると気持ち良く鳴ってくれるようになります。私は普段あまり音量を上げずに聴くので、あたりがつくまでに長い時間がかかります。(あたりがつくとまるで違う音になる訳ではありません。初見で弾いているのと充分練習してこなれて来たのの違いのようなものです。)楽器もスピーカーも轟音で鳴らしていると振動のモードが大雑把になり、ローレベルの音が無残な姿になります。実はローレベルの再生の方がハイレベルの再生よりはるかに何倍も難しいと思います。ローレベルの音の立ち上がりをきれいに出すのは、雑音を伴わずにハッキリと軽くしなければいけないのです。これは楽器やエンクロージャーがそういうローレベルの再生モードに充分馴染んでいないと期待出来ないのです。いつも無神経にガチャガチャ弾いている楽器はそういう音しか出せません。
新しい楽器を手に入れた場合、私達はほとんどの場合は前に誰かに弾かれています。つまり最初に弾いた時はその前の持ち主の音がするのです。(自分の楽器を人に譲った場合はそれと同じ事が新しい持ち主の手元で起こっている訳です。「こんな音で弾いてたの?」と言われない為にも気をつけなければ!同じ楽器を名演奏家が引き継いでいる場合がありますが、そういう2人のCDを聴くと何度も言っているように弾き手の個性の方がはるかに大きく聞こえてきます。)
その意味でショールームのスピーカーというのは難しいでしょう。私の手元では私の聴き方に対応すれば良い訳ですが、ショールームでは無神経に轟音で鳴らされたあと私がヴァイオリンソロを聴いたりすれば最初は無残な音を聴かされる訳です。まあスピーカーは楽器ほど神経質ではないので30分から1時間も聴いていれば一応聴けるようにはなります。
というような事を書きながら2階のSV-501SE+DevonでRafael Kubelik指揮のバイエルン放送響のシューマンの3番4番を聴いています。またよく聴いているMilsteinの小品集も聴きました。以前大橋さんに来ていただいた頃(9月9日)は2階のシステムはまだ味付けが軽過ぎると思っていましたが、その頃とは4つのポイントが変わっています。(スーパーツイーター、WEの管、CECのTL-51X、そして最後の隠し味)自分の奏法についてもいつも問題意識を持っていると色々な発見があるものですが、同様な事はステレオにも言えます。問題は奏法の場合は元手はタダなのですが、ステレオの場合はほとんどの場合に出費が伴う事です。
今回は元手ゼロの最後の隠し味以外はかなりの出費を伴います。最初の3つに対する出費だけで20万かかっています。でもそれなりの効果を上げているので後悔などしていません。例えば管など最初からWEにしていたら多分WEの威力をこれほど意識しなかっただろうと思います。でもその為にCHINA、Svetlana、Electro Harmonics、Golden Dragon、Prime、Prime Ver.2と買ってしまう事になりました。今の私の音はこれを通してやっと作り上げられた訳です。でも他人に奨めるかといえば絶対にノー!です。使わなくなった物だけでゆうにドメスティック・オーディオ5〜6セット位のお金がかかっています。(ドメスティック・オーディオとはこのように膨大な無駄を積み上げた結果出来た考えです。音楽を聴きたい人全てがこのような無駄な授業料を払う必要などない訳ですから、私の空回りの上澄みをすくい取った結晶だけを皆さんに味わって頂きたいのです。それがドメスティック・オーディオの真意です。ドメスティック・オーディオというのは完成形ではありません。あくまでも途中経過なのです。でもこれを聴き込むと、自然と自分の進むべき道が見えてくるはずです。これで自分の進む道が見えるまで充分音楽に浸って下さい。)こういう事をやる為に行けなかった演奏会や買えなかったCDがたくさんある事を思うと結果的には単なる無駄だったのかなと反省しきりです。でも私の場合にはこういう場で得た収穫を演奏を通して皆さんにお返しする事が出来るのがせめてもの救いなのかな.......救いになっていないと言われればそうかもしれません。
「言ってる事とやってる事が違う!」というお叱りもごもっともです。今となっては一生懸命こうやって得た音楽の感動を皆さんに何らかの形でお伝えするしかないです。(演奏とこのようなつまらない「ひとりごと」を通して......)
説明すればするほど心寂しくなるのですが、私達は名演奏家のCDを聴いてそこから指遣い、ボーイング(弓の上げ下げだけでなく弓のスピ−ドの変化)、ヴィブラートという舞台裏の出来事を聴きとってそれを自分の物にして演奏に活かさないといけないのです。それは音楽を楽しむのとはちょっと違うスタンスなのです。演奏家のすぐ近くに立ってその人の技術を盗み見るような感じといったら分かっていただけるでしょうか。最初はとても面白い聴き方ですが、いつもこんな聴き方をしていたら聴く事が嫌になってしまいます。(演奏を楽しめないし、自分との差に愕然とするのみだからです。)演奏は聴衆の一人として会場で聴いてこそ心から楽しめるのです。
私が一番苦労しているのはこの2つのスタンスをどうやって出来るだけ高い次元で両立させられるかです。これは「検事の耳、弁護士の耳」というくくりとはまるで違う次元の感覚です。演奏を聴いてそれを勉強する生徒の立場と客席でそれを楽しむお客さんの立場の両立です。皆様にはこの生徒の立場は関係ない訳ですが、私にはとても大事なのです。ですからONでありながら充分楽しめるようになっていないと困るのです。
昨日泊った刈谷から名古屋空港までバスで行き、11時過ぎの飛行機で福岡に向かいました。昨日はとても楽しい時を過ごさせていただき、本当にありがとうございました。福岡の空港からアクロスまではタクシーなどに乗るより、地下鉄で天神まで行く方がはるかに速く行けます。
ズィッツプローベ(短い会場練習)が16:30からあり、18:00から本番でした。この会場は音が回る傾向があり、他のパートの音を聞き取りにくいです。今日はゲルネルさんはスカルラッティを弾かれたのですが、ステージの上ではとても鮮やかに聞こえるのですが会場から返ってくる音がかぶってしまっていました。特にラフマニノフの時などに少しずれてしまいました。多分天井が高過ぎる事が影響しているのでしょう。
今日は会場にYさんがEDIROLのR-1の現物を持ってきていました。かなりの音で録音出来るようでした。私も来月初めには手に入れられそうです。2GBのコンパクトフラッシュカードもインターネットで注文しました。簡単な録音はこれでやり、本式の録音は来年出るR-4(4チャンネルの録音が出来る)で録るのが良いでしょう。
昨日の話の追加です。私は最初は6BM8シングル、次にKT88シングルと6BQ5のシングルと聴き(これらのアンプは今でも家にあります。)、それから300Bのアンプばかり5台作りました。(エレキット、ヒノ、サンバレーのSV-501i、SV-501 SE、SV-91B。面白い事にどれも違う音がしています。300Bは動作点が違うとまるで違う面が表に出てくるところが面白いし、またそれが300Bのすごさでもあるでしょう。動作点を少しずらすだけで音がかなり変わります。)私が秋葉原の色々な店でシングルとプッシュプルのアンプを聴くと、どう聴いてもシングルの方が良かったのでシングルばかり聴いていました。ところがRogersだけは今一つ本当に鳴り切っていない感じがとれなかったのです。そこでプッシュプルアンプの可愛い物という事でSV-9Tを作り、それでRogersを鳴らしたらシングルとはまるで違う音が出てきました。6GW8のプッシュプルですから出力は300Bのシングルとほぼ同じです。でもドライブ力はすごいです。車でいうとトルクが厚いという感じです。(SV-9Tは鳴らし難いジャジャ馬スピーカーを制御するには適役です。)というような事をIさんに詳しくお話しました。Stirlingを中心にするのであれば、Iさんの好みからいうと裏技付のSV-501 SEが良いようです。(私もこの音は良いと思います。)これはCECのTL 51XでCDを聴くという条件での話です。(昨日も書いたようにSV-91Bだと音の重心が下がり過ぎに聞こえます。)
ステレオの音は入口(CDプレーヤーやアナログプレーヤー)と出口(スピーカー)の影響が大きく、アンプの影響力はそれほど大きい物ではありません。でもそれらを活かせるかどうかはアンプにかかってきます。Iさんは私の聴いているシステムの音を聴いてみたいとおっしゃっていたので、その感じを分かっていただけるように色々説明はしました。でも本物を聴いていただくのが本当は一番の早道だし、よく分かると思います。
明日の福岡での演奏会の前日の今日またサンバレーの大橋さんの所に遊びに行きます。今回は初めて大橋さんのお宅に伺うのでとても楽しみです。お忙しいところをお邪魔するので恐縮しています。これから旅支度です。
ただいまとてもうれしいニュースが飛び込んできました。理恵子が来年の8月にジェラゾヴァ・ヴォラ(ショパンの生家)でリサイタルします!そこでは一日に二回コンサー ト があり、エヴァ先生と同じ日に弾くことになるんだそうです。ピアニストとしては最高の栄誉です。
いつものように三河安城に2時半頃着きました。大橋さんが迎えに来て下さっていて、早速大橋さんのご自宅にお邪魔しました。
大橋さんのお宅のシステム | スペクトル・アナライザ |
大橋さんのご自宅のシステムはCDとSPを聴かれているそうです。左の写真の中央はWEのホーンで、とても近い音像です。しばらく聴いていると時代の違いなど全然意識させない、とても存在感のある音に驚きました。その両側のスピーカーはJBL、そして写真には写っていませんが右側にALTECのシステムがあります。右の写真は理恵子のこの前のリサイタルのCDをスペクトル・アナライザを通して見たものです。面白いのはSPでもほぼ同じスペクトル分布をしている事です。つまりSPにも20HZ〜20kHzの情報が最新のCDと同様に入っているのです。カザルスのサイン入りのレコードを聴いたりしてしばらく楽しんでから、ショールームに戻りIさんと合流しました。
毎度おなじみのサンバレーショールーム | 左から仲川さん、大橋さん、私、Iさん |
今回は私が聴いているSV-91BとStirlingの組み合わせを聴いてみたいとおっしゃるIさんを囲んで色々なCDを聴きました。Iさんはご自分でも歌を歌われ、お子さんはピアノを弾かれるというとても正統派の音楽ファンでいらっしゃいます。Iさんは私と大橋さんがショールームに戻るまでの間CEC TL-51X+SV-91Bを聴かれていたのですが、私と同様に重心が低過ぎるような印象を持たれたようでした。私がSV-501 SEにして欲しいと申し上げてつなぎ替えていただいたら、SV-91Bの時より伸び伸びとした感じの音になりました。ただIさんも私ももう少し91Bよりの音がすると良いという印象を持ちました。そうしたら大橋さんが裏技を教えて下さり、聴き込んでいくうちにとても素晴らしい音になって行きました。IさんはSV-91BにするかSV-501 SEにするか悩んでいたそうなのですが、SV-501 SEで行こうと決められたようです。ただサンバレーには300Bのアンプは現行製品でも5種類もあります。(JB300B、SV-501 SE、SV-86B、SV-91B、もうすぐ出てくるVP-3000)色々聴き較べてご自分に合う物を見つけてから機種を決めた方が良いという大橋さんのお奨めでその方向に進む事になりました。Iさんの色々なものを聴いての印象は細かいニュアンスに関するところまでほぼ私や大橋さんと同じでした。
聴き較べのあとは右の写真のように仲川さんもご一緒にOFF会で盛り上がりました。アッという間に夜も更け、ホテルにチェックインして部屋でメールを見て返事を書いたりして、今ひとりごとを書きました。とても楽しい一日でした。
今日は朝から忙しく出かけるまでに大騒動でした。出がけに近くのショッピングセンターの楽器屋に行きEDIROLのR1というコンパクトフラッシュに録音するディジタルレコーダーを注文しました。ホームページをみると来年にはR4という40GBのHDDを搭載する4チャンネル・ポータブル・レコーダーが出るようで、これも面白いかもしれません。
今日の本番も昨日と同様の良い出来だったと思います。特にラフマニノフは今日の方が一段と伸びがある感じでした。今日はゲルネルさんはアンコールにショパンのハ短調のノクターンを弾かれました。このノクターンはテーマが戻ってくる所がとても劇的で、とてもノクターンという感じではありません。悲愴は自分自身は昨日の方がのっていましたが、全体の出来はそれほど違いはないようでした。あさっては福岡のアクロスでの演奏会です。福岡の皆さん、どちらの曲も楽しめると思いますのでご期待下さい。
11月も終わりになりましたが、色々なところでクリスマスのデコレーションが飾り付けられています。
最初の写真は帰りに立ち寄ったホテルオークラのロビーのクリスマスツリーです。右は本番前のアークヒルズのデコレーションです。12月になればもうクリスマス一色になりそうです。
実は今回の演奏会はゲネプロの時までは「大丈夫なのかな?」という感じがあったのですが、本番を弾いたらとても大げさな感じはあるのですが充分効果を上げていました。特に悲愴のクライマックスの所でロシア人の指揮者だったら絶対にやらないほどのritardandoがそこら中にあるのです。私達がロシア人の指揮者で弾いた経験からいうと「どうしてこうなるの?」というような持って行き方なのですが、このように本番を弾いてみるとすごく存在感のある演奏になっていました。(私が好きかと聞かれれば、私はロシアの伝統的持って行き方に共感を覚えます。でもたしかにこういうやり方もあるな、と感じさせられました。)
ゲルネルさんのラフマニノフの2番はソリストと指揮者に落差を感じたのですが、
ゲルネルさんの演奏は素晴らしかったです。アンコールに弾かれたラフマニノフのプレリュードもとても素晴らしかったです。今日の演奏会は栄子先生が聴きに来ました。
家に帰って食事をしてから、ギーレン指揮のマーラーの復活を2階のシステムで聴きました。今の状態は私にとってはちょうど良い感じに聞こえます。9月の初めにサンバレーの大橋さんがいらっしゃった時とは音の重心と肌合いがかなり変わっています。一言で言うと線が太くなって表情が緻密になったという事です。私の感じではSV-501 SEは繊細で流麗な所が持ち味だと思いますが、SV-91Bに較べると音の重心は上寄りです。それでTL-51Xと組み合わせると重心が少し下がって良く聞こえるのだろうと思います。表情が緻密になったのはTL-51Xと管がWEになった事の両方が影響しているようです。
昨日の余韻が醒めないうちに今日のゲルネルさんのラフマニノフを伴奏しました。とても繊細な響きを大切にする方でした。練習が終わってからゲルネルさんにご挨拶したら、理恵子の事をよく覚えていらしてしばらくニコニコとお話させていただきました。昨日エヴァ先生の演奏会を聴きに行ったと言う話をしたら、「彼女は今日本にいるの?」と言われて「会いたい!」とおっしゃっていました。エヴァ先生の滞在しているホテルの電話番号をお知らせしました。
明日はサントリーでB定期ですが、栄子先生もレッスンをやりくりしてゲルネルさんのラフマニノフの2番を聴きに来る事にしています。今回は水木とサントリーでB定期、1日おいて土曜日に福岡で演奏会という予定です。実はその合間の金曜日に楽しみがあるのですが、今は秘密です。
昨日店村さんに伺った話と言うのはイタリア人についてです。イタリア人というと調子が良くて明るいというイメージを我々は持っていますが、実はイタリア人は暗いというのが店村さんのご意見でした。ヴェルディやベルリーニにしてもとても内に籠っているというのです。店村さんはフィレンツェに2年弱いらっしゃったそうです。そこで向こうの人と色々付きあって得た結論のようです。
店村さんに伺った話の中で面白かったのは、J.B.Guadagniniがほぼ10年毎に引っ越した話です。ピアチェンツァ、パルマ、ミラノ、トリノと引っ越していますが、これは昔のイタリアは都市国家の集合体であったので、例えばどこかの都市で借金がかさんだとしても夜逃げして他の都市に逃げてしまえば前の借金はなかった事になるのだそうです。それで10年毎くらいに引っ越しているのだというのです。更に傑作なのはJ.B.Guadagniniは夜逃げする時にヴァイオリンの型だけ持って夜逃げしたのだそうです。それでどこの街にいる時も型は同じだけれどニスの色が違うのだそうです。クレモナのごく一部のヴァイオリン作りだけが裕福な暮らしが出来たそうで、それ以外の街のヴァイオリン作りは皆苦労していたそうです。
このところ寝不足の連続でいささか体調不良なので、今日は早々に寝ます。
今日は夜7時から王子ホールで理恵子の先生Professor エヴァ・ポブウォツカのリサイタルがありました。実は今日練習終了後この演奏会に行くまでの間店村さんにイタリア人について面白いお話を伺ったのでそれを書こうと思っていたのですが、今日の演奏会があまりにも素晴らしかったのでこの事は別の機会に書きます。
今日は練習所を6時過ぎに出て6時半にはヤマハの前まで行っていたのですが、
そこから王子ホールの近くの駐車場に車を入れるまでに30分以上かかってしまいました。結局プロの最初の2曲はそのため聴けずじまいでした。
1.モーツァルト/幻想曲ニ短調、ソナタ「トルコ行進曲付」
2.ベルク/ピアノソナタOp.1
3.シューマン/子供の情景
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4.グリーグ/叙情小曲集より
5.ショパン/ノクターン第7番嬰ハ短調、マズルカOp.24、スケルツォ第1番
というプロで、私はベルクから客席で聴きました。モニターを通して聴いたモーツァルトも素晴らしかったですが、客席では更に感激しました。子供の情景などお母さんが子供にお話をしているような感じのとても温かい音でした。後半は4〜5と一度も立たずに一気に通して弾かれてしまいました。エヴァ先生はショパンコンクールでマズルカ賞をとられていますが、その意味がよく分かるようなマズルカでした。また最後のスケルツォの1番がものすごい迫力でした。最初の2つの和音からしてそれまでとは異次元の世界なのです。ポーランドの歴史を背負った2つの和音、またコーダの部分での和音の進行も普通は見過ごされているニュアンスをしっかり語りかけていました。
実は演奏会を聴いている時に私は、「あれっ、この音我が家でステレオで聴いているエヴァ先生の音と同じじゃない!」と思いました。あとで一緒に聴きに行った栄子先生も同じ感想を漏らしていました。という事は我が家のセッティングはその程度にまではうまく行っているという事なのだと安心しました。演奏もオーディオも演出効果ばかりを考えている間は本物ではありません。両者ともに自然に自分の感じるものを語りかけるような音に出来るようにならなければ本物ではないのです。今日のエヴァ先生の演奏を聴いていても、その時の流れで自然に湧き出てくるように色々な表情が目の前に広がるのです。文字で演奏を表現する事の寂しさを感じてしまいました。
今日のエヴァ先生の演奏を聴いて、自分の娘理恵子がこの人に教えていただける事の幸せを噛みしめました。終演後楽屋に行ったらエヴァ先生は自分の事はともかく、理恵子の事について色々アイデアがあるけれど今考慮中という事を熱っぽく語って下さり、ご自分の演奏会の事だけでも大変なのに生徒の事をここまで考えて下さるという事は本当に温かい先生なのだとうれしくなりました。実は今回の来日の直前までエヴァ先生はパデレフスキ・コンクールを受けている理恵子にずっと付き添って下さっていて、ご自分の練習は思うように出来なかったはずなのです。
実はエヴァ先生、昨日がお誕生日だったのです。
ポーランドにいらっしゃればご家族と一緒に誕生日をお祝いするのでしょうが、異国の地日本ではそういう訳にもいきません。それでおとといC定期の帰りに滞在中のホテルに行き、昨日(お誕生日当日)先生にプレゼントを渡してもらうように頼んできました。(昨日の朝先生はそれを受け取られて早速家にお電話を下さいました。)
今日はエヴァ先生の演奏会に感激して帰ってきましたが、明日のN響の練習では理恵子がエヴァ先生のお宅でレッスンを受けたゲルネルさんのラフマニノフの伴奏をします。
今日は朝から晩までレッスンのオンパレードでした。生徒の弾くものを聴いていると自分を鏡に映しているような気がしてきます。注意しようと思うとこれは自分の癖の丸写しだなと気がつくという、とてもお粗末な一席でした。最近とても感じるのが右手の親指の重要性です。もちろん弓を支えるのは親指ですが、弓をしっかり支えながら右手の柔軟性を失わないようにするのはとても大変です。小さい子の場合にこれを分からせるのはとても難しいのですが、これがちゃんと出来ないとお腹の空いたような音に慣れてしまうので最初が肝心なのです。
今朝から2階でTL-51Xを聴き比較の為にARCAMも聴いてみましたが、やはり2階ではCECの方が音が良いです。前に1階でMYRYADのアナログアウトとModel2経由の音を比較した時の事を思い出しました。この時はどちらもほとんど違いを感じませんでした。この時も2階のARCAMの場合には大差をもってModel2経由の方が良かったのです。ただ2階でその当時使っていたMERIDIANでは違いを感じませんでした。このCECのプレーヤーはヒノオーディオでも昨日ご紹介したKさんもともになかなか良い音がしていると言われていました。(ヒノオーディオではCDをかける時には今でもCECのトランスポートとDACを使っていると思います。)私はその頃CDプレーヤーを必要としていなかったので、その時は手に入れなかったのです。(その意味では今も必要はないのですが.......)サンバレーのショールームにいらしたYさんの話を読んで、前に聞いた言葉を思い出しこれは一度是非試してみないとと思った訳です。
結果は1勝1敗、2階では大成功、1階では外れでした。2階で聴いた時には「これ、なかなか良いじゃない!」というのが一聴した時の感想でした。(私はある物の持ち味を知る時には、基本的に他と比較してどうこうという聴き方はしないのです。なぜなら比較対象の持ち味に束縛されてしまうからです。あえて言えば比較対象は自分の感性です。楽器やオーディオを選ぶのは結婚相手を選ぶのと同じで、それ自体がどうかが問題なのであって、他と比較してどれが良いかというような事ではないからです。もちろん比較試聴をする事もありますが。)私にとっては2階で成功出来たのでそれで充分です。2階のDevonが見事に本領を発揮出来たからです。この前管をWEにしたのとはまた違う部分でその良さを発揮していました。皆さんのところでも必ずうまく行くとは言い切れないのは私の例からも分かると思いますが、ツボにはまったらとても素晴らしいです。(多分かなりの人の元で良い音を奏でるあろうと想像します。)人が何と言おうと思った通りの音が出てくれば私にはそれで良いのです。(その意味では私の極私的な感想です。ですからこんな事を言う奴がいるという程度に思ってお読み下さい。)
「残響2秒」(出版:大阪書籍)は合間を縫って読んでいます。今1/3ちょっと位のところまで読みました。出来上がったもの(ザ・シンフォニーホール)しか知らない私にはとても新鮮なショック(良い意味の)を与えてくれる本です。
今日はC定期の2日目でした。今シーズンからC定期の2日目は3時開演になりましたが、1時間開演が遅れても実質的には今までの午後2時開演のつもりで家を出てしまうので、私達には全然楽になったという実感はありません。結局今まで通りの時間には家を出発してしまうのです。最近いつも渋滞だらけで、土日でも空いていない事が多いです。今日も環状線内回りが大渋滞だったので、外回りで三宅坂に行ってそこから渋谷に出ました。
今回の指揮者ルイジさんはとても音楽的だと思いました。単に拍子通りに進むのではなく、どんな簡単な音形でも歌っています。そのせいか曲の開始早々にどういう振り方をしているのか分からないところがありました。でも今回2日間の本番を通してなかなかの演奏効果を出せました。ただレスピーギとドビュッシーの求めている音色の違いについてはハッキリとした像は作れませんでした。次の定期はラフマニノフとチャイコフスキーというロシア物で、ルイジさんがオールラウンド派である事がみられるでしょう。(ヨーロッパ人が他国[特に隣の国]の音楽を振ると、日本人やアメリカ人が振るより違和感を感じる事が多いのです。今回はブラームス、レスピーギ、ドビュッシーと3カ国にわたって指揮されていますが、違和感というようなものは感じなかったのは素晴らしいと思います。)
いつも今日のようなマチネの音楽会では、本番の時に本調子を出しにくいという問題があります。
普段午後のこの時間帯は私達は休んでいるので、本番と言われても体調をそれに合わせにくいのです。
夕食後1階のシステムでCECのTL-51Xを試してみました。2階ではとても有効だったTL-51X+Model2ですが、1階のシステムではMYRYAD(MCD500)の方がはるかに良い音を出していました。何が違うのかというとTL-51Xの方は何か重しを載せられたような感じがするのに対して(2階のシステムでもその傾向はありました。また1階の部屋の響き自体に2階より重さを感じるという部分はあります。試しに重しを載せないでPLAYしてみたら、なんとNO DISCの表示が出ました。重さをかけないとDISCを読みに行かないようです。レコードに載せる手元にあるもう少し軽いウエイトの場合はフタが閉まらないので使えませんでした。)、MYRYADの方は伸び伸びとした音がしています。これは栄子先生も同じ感想を持っています。このMYRYADは今は引退されてしまったSムセンのKさんにその当時最もStuderに近い音を出す物として奨められたものです。私の家の現状では2階のシステムではTL-51Xがとても有効です。でも1階のシステムではなぜか音が伸び切らない感じで終わってしまいました。(オーケストラ、ヴァイオリンソロ、ピアノソロを聴いてみました。)今は2階でTL-51Xを聴いていますが、こちらでは水を得た魚のような感じです。もちろんオールマイティな物があるはずもないので、条件が変わればまるで違う面が出てきても少しも不思議ではありません。それに値段との相談という部分もある訳で、コストパフォーマンスを自分なりに考えた上で結論を出さないといけない訳です。単純にTL-51Xが良いとか悪いとかいう問題ではなく、それを活かせる場面を理解した上で上手に使いこなす事が求められるのでしょう。
今日はC定期の本番初日でした。今日は雨の上に要人の来日に伴う交通規制で首都高は大渋滞でした。実はカーナビは早々に下の道に下りろと指示を出していたのですが、竹橋まではなんとか首都高で行ったのですがそこからピタッと動きが止まってしまったので下の道に下りてホール行きました。
ホールに着いたのは既に10時を回っていて、9時半にはホールに着いている私のペースから言うと異例の遅さでした。それからNHKの食堂で朝がゆ定食を食べて、ゲネプロに望みました。ステージに上ったのはゲネプロ10分前で、もう既に皆自分のイスに座っていました。それからインスペクターから連絡事項があり、それから調弦です。実は私達の調弦というのは単なる儀式でそれまでにステージの上で皆が弾いている間にほとんど調弦は出来ています。まあプロなのだから当然といえば当然です。この調弦というのは言ってみればSV-501のプレート電流調整のようなものです。指馴らしの段階で既に合わせていますが、一応確認の為にやるので儀式といった訳です。(私達は自分の弾いている音が他の人と合っているかどうかは指馴らしの段階で確認しています。調弦になってから音程を合わせているのでは遅いのです。調弦しないと音程が分からないようでは、楽器はいつまでも響いてくれません。いつも同じ音程で弾くから楽器も良く響くようになるのです。といっても私のようにガット弦を使っていると、すぐ音程は狂ってきますから調弦はいつやられてもありがたいですが。)
という事で11時からゲネプロが始まりました。ゲネプロというのはゲネラル・プローベというドイツ語から来ています。総練習というような意味です。ゲネプロというのは本番と同じに通しで弾いて、問題点を探ると同時に本番に備えるという意味合いがあります。今日はブラームスのヴァイオリン協奏曲から始まりました。ゲネプロの時はカデンツァはほとんどの場合弾かないので、本番で初めて聴きました。今回ツェートマイアーさんは聴いた事のないカデンツァを弾かれていました。今日の演奏会は普段のN響の演奏会に較べると時間は短いのですが、変化に富んでいてとても充実していたと思います。
というような事で終演後代々木の入口に来たら、なんと代々木から渋滞という表示なっていました。今日は一日中渋滞につきまとわれました。帰りは代々木の入口から入らずにとっておきの裏道を使って箱崎まで抜けて、家に帰りました。夜は道も混んでいないので、ホールから40分位で帰ることが出来ました。
家に帰ったら2つの楽しみが待っていました。
1つ目はこの前関西のNさんという方から大阪のザ・シンフォニー・ホールの建設の経緯を書いた「残響2秒」という本が届いた事です。
当時朝日放送の社長でいらっしゃった原清さんが周りの方たちとともにザ・シンフォニー・ホールを建設されたご苦労をまとめた本です。Nさんはこういう事実が歴史の中に埋もれていってしまわないように私に皆さんに紹介するようにして欲しいという事で私に送って下さったのです。Nさんにはこの場を借りて心よりお礼を申し上げます。読んで面白い事はここで皆さんにご紹介していきます。
2つ目はサンバレーからCDプレーヤーが届いていた事です。サンバレーの店主のひとりごとに紹介されていたCECのTL-51Xです。帰ったら玄関にこの段ボールがあったので、2階まで持ち上げようと思ったら結構の重量があり気軽に持ち上げられる重さではありませんでした。軽く食事をしてから仮につないで理恵子のこの前のリサイタルのCDをかけました。普段聴いているARCAMより重心が1つか2つ下がった感じで、左手のフォルテがズーンととても良い感じに聞こえてきます。今これを書きながらパデレフスキのソナタを聴いています。
実は理恵子は今月の6日から18日までポーランドで行われた第6回パデレフスキ国際コンクールで4位を受賞しました。第2次予選ではショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ」、リストのハンガリー狂詩曲第6番、パデレフスキのソナタを弾き、この時の演奏が評価されてパデレフスキ賞をいただきました。審査員のクライネフ先生に「この曲をこれほどまでに弾けるのはあなたしかいない。」と褒めていただいたそうです。
栄子先生が横で良い音だといってニコニコ顔でこれ聴いています。こうやって聴いているとCDではなくレコード(今はアナログというのですよね!)を聴いているような気になります。ちょっと聴くと地味に聞こえるのですが、たしかに帯域は広くないと思いますがそんな事など吹き飛ばしてしまうほどの低重心の音の充実感と鋼のようなバネのある音はとても魅力的です。今日は差し当たり2階のDevonで聴いていますが、明日は1階のStirlingで聴いてみようと思っています。ヒョッとするとどちらもCECになってしまうかも........今まで2階のシステムの音の軽さが気になっていたのはCDプレーヤーのせいだったのかもしれないという事が納得出来た今日の試聴でした。
もう少し詳しく気に入った点について言うと、どの曲でも声部が入り組んで右手がメロディーを歌いながら左手が別のテーマを弾いているような所で、
このCDプレーヤーだと両方ともにキチンと存在感を伴って聞こえてくるのです。今までは流れるように重心がもっと上にあるような感じに聞こえていました。今の状態だと重心が下がってとても良い感じです。今まで私は国産にはこんな良い製品があるとは思っていなかったのですが、これは素晴らしいです。何といっても音と音のつながりが本当にlegatoなのです。今ミルシュタインの小品集を聴き始めましたが、印象は同じです。ソロと伴奏の絡みが最高に良いですし、今まであまり聞こえてこなかった伴奏ピアノの細かい音形が綺麗に何という事なく自然に聞こえてきます。本当にミルシュタインのヴァイオリンは実に見事です。私の今聴いている音を皆さんに是非ともお伝えしたいです。やはりベルトドライブであるという事が一番効いているのでしょう。やはりオーディオは音を聴いて評価しなければいけませんね。
今日はレスピーギ、ドビュッシー、ブラームスの順に練習しました。流れをとても大事にされているようで、セカンドのような伴奏音形から見るとテンポをつかみにくい所が2〜3ヶ所かありました。ブラームスについても響きをコントロールしてソロをオケが隠さないように注意されていました。
昨日書いた楽器の事について、「日本ではどうしてStradとdel Gesuばかり騒ぐのでしょう?」というメールを頂きました。今日はこの日本人のナンバーワン好きについて書きます。車についてもオーディオについても楽器についても日本での話題になり方は必ずどれがナンバーワンかというものです。ナンバーワンというブランドを作り出して、その傍に寄って行って安心するというのが日本人の特性のような気がします。Stradとdel Gesu以外にも名器として有名な物はたくさんあります。Bergonzi、Guarneri一族、Guadagnini一族、Ruggieri、Montagnanaなどのイタリアの名工の手になる名器もたくさんあります。でも今ではこういう物が注目を浴びるという事はなくなっています。たしかに超一流の楽器は素晴らしいですが、これらの楽器もとても素晴らしい演奏効果を持てます。例えばハイフェッツがデビューした時に持っていたのはTononiだというのは有名な話です。ハイフェッツはそのTononiで聴衆を魅了して名前を上げていったのです。大家はデビューした時からStradやdel Gesuを弾いている訳ではありません。困るのはこういう話を実際に弾ける人がしているのではなく、生半可な付け焼き刃の知識の人がしている場合がほとんどだという事です。たしかにStradは他の楽器が持っていない音を持ってはいますが、主な音の違いは弾き手の違いによるものです。
同じ事はオーディオにも表れています。
意識をしっかり持っている人は、「何がナンバーワンですか?」とか「AとBではどちらが良いですか?」等という意味のない質問はしないものです。人それぞれに体形も感性も違うのですから、誰にとってもこれがナンバーワンだ等というものはないのです。その事の意味が分かる人なら今Web上でされている論議の意味のなさがよく分かるはずです。車だって全ての人にとってナンバーワンの車なんてないはずです。私などへそ曲がりなので、こういう議論は大嫌いです。少なくとも芸術に興味を持つ人だったら、何がナンバーワンかという観点ではなく自分は何が好きかという事が第一に来るべきです。自分で選べないから人気のあるものに寄り添って安心したいという気風がある間は、いつまでも本当の意味での選択は出来ないでしょう。(Webで騒ぐ人は周りを皆自分と同じ意見にして安心したいので、人を煽ってこれがナンバーワンだという気風を作りたいのでしょう。自分がそれの先頭にいる事で自分を安心させたいだけなのです。人と自分が違うからこそ自分の存在価値があるのに........そういう動きの乗せられないで、自分で感じて考えましょう。その中から自分の感性が自然に見えてくるものです。そうすれば自分の進むべき道は自然に目の前にハッキリ見えてきます。)人と違うという事は悪い事ではないのです。
今日もファビオ・ルイジさんの練習でした。今日もレスピーギとドビュッシーの練習でした。ローマの泉には鳥の鳴き声を模した部分がたくさんあり、楽しい鳥悲しい鳥と色々な鳥が出てきます。ルイジさんはただ頑張って弾くのではなく、細かく音量をコントロールしながら弾くように言われています。練習していても柔らかくて良い響きがしています。
ただ練習そのものは特にうるさい訳ではないのですが、とても気疲れします。特に静かな所など気が抜けなくて大変です。とても自由に流れるように指揮されるので、細かい所の噛み合いなどどこに合わせて弾いたら良いのか分からなくなる事があります。
昨日とても細かく練習しているので、今日は最初からまとまった音がしていました。ヨーロッパでも最近色々な所で活躍されているそうですが、それもうなずけるような持って行き方です。
明日はこの2曲を通したあと、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を練習します。イタリア、フランス、ドイツを3つの国の曲を弾きますが、これで持ち味がよく分かるでしょう。
今日は楽器の事について少し書きます。ヴァイオリンというとAntonio StradivariusとJoseph Guarneri del Gesuの楽器が名器として有名です。昔はAmati等のアーチの高い物がもてはやされていましたが、今では表板がフラットなタイプの楽器が珍重されています。Stradとdel Gesuはともに1700年代前半に活躍していました。Amatiは1600年代の終わり頃です。そのあとの作家たちはStradやdel Gesuの形を真似ている物がとても多いです。
Stradやdel Gesuの楽器なら皆良い音がするのかというとそういう訳ではありません。何と言っても健康状態が良い事が第一条件です。健康状態と言うのは傷がなくて保管の状態が良い事です。(保管の状態というのは湿気で指板が落ちていない事や、虫食いのない事です。ヴァイオリンには一応基準になる寸法があり、それに沿っている楽器でないと弾きにくいので、寸法が合っている事ももちろん条件の1つです。)良い音の出る楽器は今までに演奏家に弾かれているケースがとても多いです。ですが演奏家に弾かれているという事は色々な事故に遭う可能性も多く、また弾かれる事による疲労も積み重なっています。昔は演奏家1人が何本ものStradやdel Gesuを持っている事がありましたが、名器の数が少なくなってしまった現在では1本Stradを手に入れるだけで目の玉の飛び出すような金がかかるようになってしまいました。現在残っている名器は早い時点からコレクターの手元で大事に保管されている物を名手に貸し出しているケースが多いそうです。
私も機会があってStradを弾かせてもらった事が何回かありますが、ちょっと弾いたくらいでその本性が分かるようなものではありませんでした。限界がどこまであるのか試そうとしても、楽器より前に奏者(私)の方に限界が来てしまうのです。弾いている時は良い音でうれしいのですが、楽器の本当の持ち味などとても評価出来ない事を思い知らされます。名手はこういう楽器を思いのままに操れるのだろうなと思うと、自分の限界を思い知らされます。(ですから差し当たり自分の持っている楽器の持ち味をフルに出せるように頑張る事が第1段階です。それで不満があり経済的に許すなら更に上のクラスの楽器を求めるのが第2段階ですが、家よりはるかに高いヴァイオリンを買う余裕など普通の演奏家にはありません。更に金だけ持っていても楽器は貴重品なので、欧米の有名な楽器屋さんになると弾けない人には良い楽器は見せてもくれないのです。それだけ楽器の世界はシビアなのです。)
実は楽器以上に音に影響があるのが弓です。TourteとPeccatteが有名です。ヴァイオリン以上に弓の方はへたりが早く、1本の弓は演奏家がフルに使うと演奏家1代でほぼ良い所は出尽くしてしまうそうです。(楽器はもう少し寿命は長く、演奏家2〜3代は大丈夫だそうです。従って楽器より弓の方が良いものは手に入れにくくなっています。)いずれにしても良い音の出る古い物は新たに作られる事はない訳ですから、時とともにどんどん希少価値が上がって行き、一緒に値段の方も上がって行く訳です。今やプロでもなかなか良い弓を手に入れるのは難しくなっていますから、アマチュアの方たちは良い弓を手に入れる事はもちろん良い弓に対面する事さえ難しくなっています。今ではちょっと良い弓でもすぐ200〜300万という値がつきます。(私が学生の頃と較べると1桁違う値段がついています。最近は「こんな弓がこんなにするの〜〜!」という事のオンパレードです。)楽器は更にその1桁上です。特に弓を買う場合にはそのへたりの様子をちゃんと見ておかないといけません。更に最近はグラスファイバーの弓などという物があり、世界的に著名なソリストも使っている例はあります。ですが音はあまり魅力的ではないので、アマチュアの皆さんには私はお奨め出来ません。同じ値段でも普通の弓の方がずっと素敵な音がするので、普通の弓を買って下さい。(グラスファイバーの弓は結構な値段がしています。その意味でもお奨め出来ません。弓をつえの代わりに使うなら丈夫で良いかもしれませんが.......?)
更にこの業界はとても恐ろしい世界で、それこそ鑑定団にでも見てもらうと面白いでしょう。例えばたしかに本物のStardではあるのですが、虫が食っていて表板が紙のように薄くなっている物もあるのです。こんな物に億近い金を払わされたのではたまったものではありません。
今日からファビオ・ルイジさんのC定期の練習が始まりました。レスピーギ、ドビュッシーの順に練習しました。どちらもとても細かく念入りに練習しました。ただ派手にアピールするのではなく、とても緻密なアプローチです。私自身はいささか睡眠不足で、この練習について行くのは大変でした。でも多分本番は素晴らしい出来になると思います。明日もこの2曲を練習する予定です。(ブラームスのヴァイオリン協奏曲は3日目に練習します。)
昨日も結局色々聴いてしまいました。やはり雑念なしに音楽を聴くのが一番です。そのおかげで今日の練習はきつかったので今日はもう寝ます。
今日は頼んでおいた生徒の楽器を取りに行きました。楽器の方は決まっていたのですが予算との関係で弓を選ばなければいけないので、私が選びに行ったわけです。予算より少しオーバーだったのですが、とても良い弓が見つかりました。同じメーカーの同じロットの弓でどちらも良い弓なのですが、持ち味はかなり違っていました。より高い弓の音に近い弓を選びました。今日選んだ楽器も良いのですが、私は弓の方が気に入っています。これくらいの音がすれば自分のサブの弓にしても良いかな、という感じです。
最近Web上で色々見ていて気になる事の1つが、出所のハッキリしない匿名のいい加減な情報です。オーディオについても音楽についてもどちらも音そのものが大事で、まず元の音を聴かなければ話は進まないのに、Web上には匿名の解説者が腐るほどいらっしゃるのです。それぞれの人が出している音の実像を知りもしないのに、もっともらしそうに解説して見せるのです。皆さんご自分の個性を大事になさりたいのでしたら、あなたの人となりをよく知っている人に相談なさる事です。音の話をWeb上で解決出来るなどと思わない事です。そんなに簡単な事だったら誰でも大家になれます。演奏についてなど特にWeb上のレッスンで上手くなれるほど物事は簡単ではありません。匿名の人から出てくるただ(無料)の情報というのはそれなりの価値しかないのです。もっともらしそうな話のネタのほとんどはYahooで検索するとアッという間にかかってくるようなものばかりです。本当に意味のある情報はそんな安売りの場には出てきません。(先生は核心の部分についてはWeb上で全部を明らかにするような事は絶対にしません。そんなことをしたらお金を払って習いに来る生徒に失礼というものです。誰が考えても当然の事でしょう。)
明日からは11月のC定期、ファビオ・ルイジさん指揮のブラームスのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:ツェートマイヤーさん)、レスピーギの「ローマの泉」、ドビュッシーの「海」というプロです。その次のB定期も同じくファビオ・ルイジさん指揮で、ラフマニノフの協奏曲第2番(ピアノ:ネルソン・ゲルナーさん)、チャイコフスキーの「悲愴」というプロです。ゲルナーさんというのは今ポーランドにいる理恵子が留学日記(今年の4月8日分)に書いている人です。練習の時にお話が出来るとうれしいのですが........
ここ2日続けて試聴について書きましたが、簡単そうに見える事でも考え始めると実にたくさんの事があります。(試聴についてだけでもこの倍以上言いたい事はあります。)でも良い演奏を聴いて楽しむのにはこのような理屈は差し当たり必要ないのです。というよりはむしろ邪魔なのです。自分なりのくつろいだ聴き方でも、自分が演奏しているような感覚を味わうような聴き方でも、どんな聴き方でも自分が楽しめれば良い訳です。自分の部屋ですっとイスに座って、自分の好きな演奏を聴く事こそが一番大切な訳です。オーディオについて私がこの2日書いたような事を考えながら音楽を聴くほど砂を噛むような味気ない事はありません。要は音楽を聴いてそれから何かを得て初めて意味があるのです。実体を伴わない言葉だけの世界の虚しさをこの2日間皆様には充分経験して頂きましたが、こんな事ばかり議論しているのが悲しい事に今のオーディオ論議の実体です。「もういい!」というのが皆さんの偽らざる感想だと思います。私もそう思います。正面から議論するとこの2日間私が書いたようになるのですが、ハッキリ言ってこういう話は勝手にいつまでも興味のある人達でやってもらうのがベストですね。音楽は出てくる音が良ければ良いのです。その手段の話だけが肥大したのが今のステレオ論議で、悲しい事に実際の音とは関係のない次元での論議ばかりが横行しているのです。
というような事でオーディオについてこれ以上言うのは止めます。言い出しておきながら途中で止めるのは中途半端ですが.......もうそろそろ生徒が来るし、そのあとはジックリ名演を聴こうーーっと。(次のコンサートの曲選びもあるし。)その方がはるかに楽しいし意味があるから。
これからも私が音楽を楽しみながら感じたオーディオの使いこなしについては、気がついた時にご紹介して行きます。
といって今日色々のCDを1階で聴いたのですが、1階の300BがWEになってから一番印象が変わって聞こえたのは今日聴いたミルシュタインでした。バッハの無伴奏の2番のパルティータ〜3番のパルティータという後半を聴いたのですが、聴き始めた途端に「あれっ?」と思うくらい音の太さを感じたのです。今までもミルシュタインというと豪快な弾き方をする人とは思っていましたが、音が何とも魅力的でした。(レコードは何枚もあるのですが、良い録音の物は少なかったのです。)
今日は生徒の勉強会でした。私にとっては色々勉強になる事ばかりの勉強会でした。とにかく物事は徹底的にやらなければダメだという事を再確認しました。生徒達は皆それぞれ精いっぱい頑張っていました。栄子先生は明日早朝から出かけなければならないので、終わってからもあわてて家に戻りました。その途中で私の車のすぐ前で覆面パトカーが車を捕まえていました。あ〜〜ぁ、危なかった!
今日は試聴についての第2弾、音についてです。
楽器の場合について言うと、弾き手の身体的条件とどのような音が好きかという好みが楽器と合うかどうかが一番大きな問題です。魂柱やバスバーの調整や弦やテールピースの材質による調整は微調整程度の効果しかないのです。
これをオーディオに当てはめるとどうなるかというと、聴き手が普段どのくらいの音量でどのような音を聴きたいと思っているかという事と器械の性格で相性は決まってしまうのです。どんなに微妙な音を出す事が得意なものでも、難聴の人相手だったら出る場などない訳です。逆に大音量で本領を発揮するスピーカーなどは私のように普段聴く音量が小さ目の人にとってはただうるさいだけです。皆自分の聴き方が当たり前だと思って話をしていますが、人が違えばとても想像出来ないくらい聴き方も違うものです。(ここは私のひとりごとですから、私の聴き方を前提として物を言っています。私の好きな音、私が普段聴く音量、私が普段好んで聴くジャンルというように全てに渡って私の好みで書いているのです。参考にならない方はどうぞ無視なさって下さい。)
私はいわゆるオーディオファンの聴衆レベルは、音楽ファンだったら絶対に聴かない位音が大き過ぎると思っています。音楽というのはそこにたくさんの人が同居して皆が一緒に楽しむものです。(演奏会は色々な人がある場所に集まって、ある演奏家の演奏を皆で共有してそれを楽しもうというとても社会的な作業です。他の人の存在を忘れた結果がTBS[放送局の事ではありません。トーキョー・ブラヴォー・サービス。演奏会が終わった途端に吠える人の事。お客さんは皆平等にお金を払って演奏を楽しみに来ているのです。TBSの声を聞く為に演奏会に来ているのではありません。]だったりする訳です。)耳をつんざくような大音量で聴いて、それが生の音の醍醐味だなどとうそぶいている人は私には信じられません。大体演奏はS席で聴いて丁度良くなるように調整しているのです。(S席で聴いて体が固まるほど大きな汚い音で演奏する人など、まともな演奏家だったら絶対にいません。)ピアノのフタの中に頭を突っ込んだような音や松やにの飛ぶような音(そんな音はありません。松やには音もなく飛びます。もうこの「松やにの飛ぶような音」とか言うフレーズ、止めましょう!!!)を求める事はいくらやっても満足は得られませんのでお止めになる事です。そんな聴き方をしても、演奏の本質など絶対に分かりません。演奏は弾き手と聴き手がある程度離れているからこそ成り立つ芸術活動です。音を遠くに飛ばすための子音だらけの至近距離の音を聴いて何が音楽なのですか?(そういう音を強調して録音する事が最近多いのも困った事です。どうしてそうするかと言うと、そのまま録音すると音が遠くに飛んで行かないので子音を強調して音が飛んでいる幻想を作るのです。昔の名演奏家の演奏の場合はそういう小細工は必要なかったのです。ただマイクを立てて録音するだけで音が遠くに飛んでいるさまが録れたのです。録音がどうとかいう以前に演奏そのものが素晴らしかったのです。今も名演奏家の場合録り方などどうであれ素晴らしい音がしています。そういう素晴らしい演奏を録ったソフトを是非聴いていただきたいです。ジックリ聴いていれば良い演奏は自然と見えてきます。良い演奏や音が分かったフリをして見当違いな発言をしている人に惑わされない事です。困った事にこういう人は思いの外に多いものです。)
試聴の場合何を聴くかもこのようにとても大きな問題です。名演の良い録音か自分が素性のよく分かっているソフトを、ポイントを決めて冷静に聴く事が大切なのです。(本当の事を言うと買う前に時間をとって聴く事が出来る事がベストですが、なかなかそういう幸運に恵まれる事はないでしょう。買ってしまってからだとどうしてもそれを良いと思いたい気持ちが強くなり、なかなか冷静になれないものです。よほど自信のあるメーカーでなければそんな事は出来ないでしょう。)
いよいよ明日は生徒の勉強会です。今回はヴァイオリンは小さい子達だけが出ます。今日も明日を控えて最後の確認の為に生徒が来ます。毎年年末にクリスマス・コンサートという名前でやっていたのですが、今年はコンクールの関係で1月早いクリスマス・コンサートです。栄子先生はあさって朝早く出かけるので(横浜の方でステップの審査があるのです。)、終わってからゆっくりどこかで食事などという展開にならないところがいかにも我が家です。
昨日は私の今の状態を説明しました。これからがいよいよ本論です。言いたい事は山ほどありますが、あまりにも多岐にわたるので少しずつ書いていきます。
今日は試聴についてです。皆さんは試聴というとどう感じられますか?自分がお殿様で家来になるべき者を選ぶオーディションのようなものだと思っていらっしゃいませんか?実は家来の方がはるかに腕達者で、お殿様であるあなたを逆に審査しているのかもしれないのですよ。これは楽器の世界では日常茶飯事です。それが楽器にバカにされるという状態です。
私はオーディオの試聴の場合は自分の仲間か先生になれる者(物ではありません。)を選ぶつもりで聴いています。自分の家来のような物を選ぶのでは、それを聴いてそれから勉強する事などできないではないですか。
よく試聴記事を読んでいると、ある曲のある部分を聴いて「低音がとてもよく出ていて、アンプの優秀さが分かる。」などという記述に会います。こんな事を書く人はオーケストラは皆勝手に弾いているという認識しかないのです。ちょっと気の利いたオケだったら低音にテーマがある所では、高音楽器は小さく弾いて低音を目立たせるように弾くものです。つまりそういう所では元々低音の方が大きく弾かれているのです。そういう所を再生しても低音が出てこないアンプやスピーカーなど元々問題外なのです。(これが後に書く第1段階を通過出来ないものです。)つまり低音がよく出ているというのは私に言わせれば演奏の批評なのか器械の批評なのか分からないのです。つまり批評には自分のオーディオ遍歴だけでなく、音楽歴まで含めたすべての認識が問われるのです。
また弦楽器についても的外れな批評には事欠きません。ごく普通に弾いていて楽器の限界を問われるというような事は絶対にありません。弾き手は楽器を選ぶ時にいつも限界の事を気にしなくてすむような物を選んでいます。クライマックスを弾く時に手加減をしないとまともな音が出ないというようでは安心して弾けませんから。それなのに奏者が限界を越えないようにコントロールしながら上手に弾いているというような事を言われると、一言「Unbelievable!」です。そんなコントロールが出来る人だったらそんなことを気にしないでも弾けるようなもっと良い楽器を選んでいます。(誰もそんな無益な努力などしたくありませんから。)
試聴は相手を試しているのと同時に自分も逆に試されているのだという事を肝に銘じてやらないといけないというのが私の信条です。試聴記はその成果の結晶です。心して書かねば!........私は試聴する時にまず第1段階でそれが私の求める最低の基準をクリアしているかを聴きます。次に第2段階で第1段階を通ったものが自分の好みに合うかどうかを聴きます。その時第1段階をクリアしたものについては、別の機会に再度試聴するように心掛けています。なぜなら自分の好みも音楽経験に伴って変わっていくものですし、私の歯列矯正事件のように思いもかけぬ事から物の見方が変わる事もあるからです。そういう時のためにあらかじめ候補になりそうなものを選んでおくのです。
今日は試聴についてでした。
今日は久し振りにゆっくり1階のSV-91Bの音を聴きました。このところもっぱら2階のDevonの方で聴く事ばかりで、ほとんど下の部屋で聴く機会がありませんでした。
今日は7時から栄子先生と一緒にお茶の水のカザルス・ホールに行き、宮澤むじかさんのリサイタルを聴かせていただきました。今日の盛会のご様子を見るとご両親のご苦労がしのばれ、今日の東京と18日の札幌の演奏会のご成功をお祈りいたします。今日のお客様は音楽界の方だけではなく、とても広範囲に及んでいる事に驚かされました。演奏会の印象は栄子先生が書いている通りです。
私が2001年の5月末にエレキットの6BM8のアンプを同僚のYさんに借りて以来3年以上が経ちました。それまではQUADの66+606で聴いていましたが、2万もしない6BM8のシングルアンプを聴いた時には本当にビックリしました。それからトライオードの6BQ5のVP-Mini84、KT88のVP-Mini88を買いしばらくそれを聴いていました。ですが色々なところで300Bの音を聴いてその音に魅せられていき、エレキットの300BのシングルアンプTU-873を作りました。それから300Bの虜になり、ヒノのHK-300BSを作りました。それから先ほどのYさんにサンバレーを紹介されました。SV-3というプリアンプが最初のサンバレーとの巡り合いでした。それからしばらくしてSV-501iを作り、そのパフォーマンスに驚かされました。それからSV-501 SEが出て、更にSV-91Bが出ました。またプリアンプはエレキットのTU-875や、CREEKのプリアンプP43を使っていました。でもあと一味ピンと来なかったのです。そこでサンバレーからSV-722(Macintosh型)が出たので、これを作ってみました。(この時点ではメインはSV-501 SEです。)CREEKのプリよりSV-722の方が音に厚みが感じられました。それから今年の初めにSV-91Bを作り、アンプについては決まりました。
色々なアンプを作ったのと同時に、300Bについても色々な管を差し替えてみました。エレキットについていた中国管、ヒノを作った時に選んだSvetlana、サンバレーに奨められたGolden Dragon、サンバレーのPrime TubesとそのVer.2と5種類の300Bを試しました。そしてこの前にとうとうWEの300Bを買いました。
その人の性格が決め手になるのですが、あまり色々迷わずに1つ決めたらそれで行けるというタイプの方にはPrime Tubes Ver.2を奨めます。というのはコスト・パフォーマンスの点から言ったらこれの右に出るものはないでしょう。色々迷ったあげく結局はベストの物を買わないと気が済まないという人は最初からWEを買われた方が良いでしょう。(私のようにいくつも同じものを買う事になってしまうからです。)
WEの管はCP(コスト・パフォーマンス)を言ったら最低とは言わないにしても本当に良くありません。でも出てくる音はたしかにその良さを認めざるを得ません。(Yさんにそう人がいるから安くならないのだと言われてしまいました。)
今まで言っていた事とは違う行動を取る事になってしまった事は充分承知しています。たしかにWEになって今まで聞こえなかったような音の厚みと伸びが聞こえます。問題はCPです。とても微妙です。絶対的なパフォーマンスについては認めざるを得ません。でもその分をソフトに充てた方が良かったどうかは自分でも今は分かりません。
でもこの新しい環境で色々な音楽を聴いてそれを自分の演奏に活かせるのであれば、この投資も無駄にはならないでしょう。ただ人にはあまりお奨め出来ませんので、人に聞かれれば高い物を買うならソフトを買うようにした方が良いしマトモだよと言います。この事は違う分野から音楽の世界に飛び込みたいという人に相談を持ちかけられた時と同じです。私自身がその経験者であっても、人にはあまりお奨め出来ません。でも人に言われて迷うくらいだったら方向変更などするべきではありません。自分の人生なのですから、人に言われてすぐ気が変わるようではいけないのです。
今日はアンプの遍歴について書き始めたのですが、今までの私を振り返っているうちに人生論のようにになってしまいました。
結局は人の言う事は参考にするけれど、最終的には自分が納得できるように最後までやらないと悔いを残します。
今日からN響はサヴァリッシュ先生のA定期が始まっているはずです。私はこの定期は降り番です。
午前中は栄子先生がジュリアンを植えるのを手伝い、午後からは自分の練習をしました。この前導入したiMac G5で初めてCDのコピーをやってみました。外付けのYAMAHAのCRW3200IXという古いFireWireにつなぐライターを今まで使っていたのですが、Toast6がこれにちゃんと対応していないのかエラーが出てしまいます。iMacのドライブ1台だけでコピーをしたら外付けのライターを使うより速くコピーが出来ました。内蔵のSuperDriveの方が外付けのライターより速くなっています。何年か前は純正の物を内蔵するより外付けの方が速かったものですが、純正の物が速くなった今となっては外付けをわざわざ買う理由もなくなりました。
今日トップページの家の写真に少し細工を施しました。カーソルを家の写真にのせて、それからクリックしてみて下さい。
今日は2階リビングのDevonについてお話します。このDevonは私がN響に入ってすぐ買った物で買ってからもう25年以上が経っています。(今年の4月にエッジを張り替えましたが、それ以外は何もいじっていません。)2年前に1階のレッスン室が出来るまではこのDevonが私のメインのスピーカーでした。最初からDevonの置き方は色々問題がありました。昔の事はともかく今の家に入ってからずーっとDevonはリビングにいました。箱の上に載せたり、木製のスタンドに載せたり、金属製のスタンドに載せたり、間にコーリアンの板を入れたり金属のスペーサーを入れたりととにかく色々試行錯誤をしました。でもなかなか「これ!」という具合には行きませんでした。
ある時サンバレーの店主のひとりごとにTANNOYのスピーカーはホーンを耳の高さに上げた方が良いという事が出ていました。そこでDevonは大きいので2組のスピーカースタンドを組み合わせて使う事にしました。このスタンドはヒノオーディオで見つけた物なのですが、足にはスパイクをはめて金属の皿で受け、柱は中空なのですがそこに土を半分くらいまで詰め、上の板とスピーカーの間に黒い金属のスペーサーを入れています。こちらもスピーカーは正面を向けるのではなく少し内側に振っています。TANNOYの場合はホーンの軸が耳の高さに来るようにする事が大事だと思います。(1階はStirlingの前だけスパイクを履かせて少し上向きにしています。2階はスタンド(高さは65cm)に載せています。)
もう1つこの2つのスピーカーを活かしているのがスーパーツイーターです。今では廃番になってしまったST-25という物を使っています。(今はST-100/200の2機種が販売されています。)このST-25はクロスオーバー周波数が14/16/18KHz、レベルが85/89/93dBのそれぞれ3段階から選べます。今1階のStirlingは18KHz/85dB、2階のDevonは18KHz/89dBになっています。この先ずっとこのままかどうかは分かりませんが、もしこのTANNOYのスーパーツイーターを使われるのであればまず18KHz/85dBの一番軽く効かせる状態から試される事をお奨めします。まず18KHzに固定してレベルを3段階試し、次に16KHzに固定してレベルを試す、というようにです。(1段階設定を変えるだけで多分皆さんが想像なさるよりはるかに音が変わります。多分すぐ二者択一の状態にはなるでしょう。でもそのどちらをとるかという事になるとなかなか悩ましいものです。)多分18KHz/85dBか18KHz/89dBあたりで丁度良い感じになると思います。
あと皆さんが関心を持たれるであろう事はスピーカーコードだと思うのですが、私は材質がどうとかこうとか言う能書きより太くて芯数の多いものが一番だと思っています。スピーカーコードはたしかに替えれば音は変わりますが、あまり本質的な違いを聴かせてくれないのです。今私が使っているのはIXOSの750円/mのものです。(これは方向性があるもので、アンプからスピーカーの方に向かって→が書いてあります。これが手に入らない時は50芯以上の太めの電源コードを、私がステレオを買った当時からお世話になっていた人の奨めで使っていました。メーター何千円もするコードだったら聴いた時にこういうコードとハッキリ違う音を聴かせてくれなければウソだと思いますが、安い物と似たり寄ったりの音しか聴かせてくれていません。
アンプについてとかCDプレーヤーやアナログのプレーやーについても色々感じる事はあります。いずれ時期を見てそれに触れたいと思っております。
メールソフトをEudoraに戻したらメールの読み込みのスピードがかなり上がりました。やっと元の感覚に戻ってある意味ホッとしています。ソフトというのは結局最初に使っていた物に戻って行ってしまうもののようです。例えば譜面書きのソフトも色々やってみましたが結局はFinaleになってしまいました。NightingaleやSibeliusも使ってみましたが、結局操作感がピッタリ来ないという事でFinaleになってしまったのです。またメールソフトもブラウザも結局は最初から使っていたものに戻ってしまいました。といっても中には途中で乗り換えたものもあります。例えばホームページ作成ソフトは最初はAdobeのPageMillを使っていたのですが、PageMillがディスコンになってGoLiveに移行しないといけなくなりました。その時GoLiveを使って色々試してみたのですが、それよりはMacromediaのDreamweaverの方が思ったようなページが作れたのでDreamweaverに移りました。
私のステレオのセッティングについて何回かに分けて書いて行こうと思います。ただ私の家での話ですから、他の方のお宅でそのまま通用するかは保証の限りではありません。でも何かの参考になればと思いご紹介します。
私の家の1階のレッスン室は約20畳の広さがあります。そこにSteinwayのO型が1台壁に対して斜めに入っています。その両側にStirlingを置いています。後ろの壁からは1m近く離せていますが、ピアノのせいで横の壁からはほとんど距離がとれていません。今日のお話はスピーカーのセッティングについてです。いくらフロア型スピーカーでも直接床に置くのは良くないので、コーリアンの板の上に載せ、後ろはそのまま、前だけスパイクを付けて金属製の受け皿に載せています。コーリアンの板や受け皿を重ねて使うのは良くないとコーリアンを買ったサトームセンで言われました。(つまりスピーカーは少し上向きになっています。)私はアクセサリーについてはあまり頼りにしていないので、今のやり方で不都合が出ない以上色々試す気はありません。(この状態になるまで何種類もの板や受け皿を試してみましたが、どれもこれも帯に短したすきに長し.......)
問題はStirlingをどれ位内向きにするかです。私の部屋で聴いた限りでは、正面に向けるよりはフローリングの板半枚分だけ内に振った方が音が良いです。(6cm弱の幅のフローリングの板ですから、3cmぐらい内に振っている事になります。)このフローリング半枚分というのはスピーカーの中心線が聴衆位置より少し後ろの部屋の壁のあたりで焦点が合うようになっています。自分の所に焦点を合わせるとサービスエリアが狭くなるような気がするのです。少し後ろに焦点を合わせると、正面から少し位外れても音が悪くなりません。ソロのCDを聴くとスピーカーの間のちょうどピアノの前にソロ・ヴァイオリンと伴奏のピアノが聞こえ、現状の音は自分としてはかなり気に入っています。(この環境下ではメインアンプはSV-91Bの方が音に勢いがあるように聞こえます。2階のDevonにはSV-501の方が合っています。)
ピアノがオーバーホールでいなくなったら一度1:1:1の置き方を試してみようと思っています。その場合はスピーカーは正面を向けた方が良いでしょう。
2階のDevonのセッティングについては明日書きます。
この前書いたメールソフトの事ですが、色々迷ったあげく結局元のEudoraに戻しました。最大の理由はMailの場合ごみ箱から消したメールがサーバーに残ってしまうからです。(場合によっては間違って消したメールを違うソフトで再度読み込めるという利点はあります。ところがパスワードに問題がある場合などもう一度サーバーに残っているメールを読み込む時に何百通というメールを読み込まないといけなくなるという問題点もあります。実際ヨーロッパ旅行中にそういう目に会い膨大な時間を費やされた事があります。)メールをテキストで保存した時にはMailの方がはるかに読みやすいという事はあるのですが、外国にいる時に余計なメールを読まなくて良いように「ごみ箱から削除されたメールはサーバから削除」というチェックの出来るEudoraに軍配が上がったという事です。(Mailはプロバイダ毎に削除するボタンが設定の中にはありますが、日に何度もメールを読む私にはそのウィンドーを出すだけでも面倒です。)
それにしても毎日毎日SpamMailだけで100通以上も来るのは困ったものです。意味のあるメールの何倍もViagraやCialisの広告が入ってくるのです。これもホームページを持っている税金のようなものなのですが、困ったものです。中にはCITIBANKからと偽装して、こちらの口座の内容を聞き出そうとするメールもあります。(最近サイバー攻撃が激しく起こり...........とかなんとか適当な言葉を並べてここにアクセスしろと言うのです。残念ながら私はCITIBANKの口座はありませんし、日本のCITIBANKは閉鎖になって行くはずです。)また依然として添付書類入りのメールもたくさん来ます。私は知らない人からの添付書類付のメールは一切開かずそのままごみ箱に入れて削除します。(この時サーバーのメールも一緒に削除してくれた方がありがたいので、Eudoraに戻したという事もあります。)
そういえばプリンターのエラーの件ですが、これはなんと省エネルギー設定のせいだと言う事が分かりました。今iMacは何もしないと15分でスリープする設定になっています。iMacがスリープするとプリンターはその5分後にスリープする設定になっているのですが、その時の電圧の変化でiMacがスリープから起きるので、それにつられてプリンターが再度起動しRAMチェックを始めるのだと言う事が分かりました。これは私がコンピューターの電源状態のON/OFFに合わせて周辺機器の電源をON/OFFするコンセントを使っていたからです。(メニューや電源ボタンを使ってスリープさせると、周辺機器の電源が落ちた瞬間に本体iMacが目を覚まし、周辺機器が再起動してしまいます。)
このところ私がよく書いている奏法の事の核は重さに耐えるにはアーチ構造が一番良いという事でした。今までほとんど使えていなかった右手の親指の付け根の筋肉がちゃんと使えると、弓が手の中で無駄に動かずに安定するのです。歯列矯正が進むに従って今年の夏から色々な事が変わってきて、今の私の弾き方は今年5月のリサイタルの頃とはまるで違っています。いくつになっても必ずいつか自分の思ったように弾いてやろうと思ってやっていると、何かを機会に成長出来るようです。
私が近くの歯医者さん(鶴木クリニック)に行くようになったのは、ある時食事中に歯が欠けてしまったからです。それで見ていただいたら虫歯の処置が出来ていないところがあり、また私は咬合の力が強過ぎるらしく下の歯が上の歯を突き上げていたようです。まず虫歯を治してから歯列の矯正が始まり、元の状態と思われる状態に戻すべくすり減っていた下の歯には2〜3mmのセラミックを足し、下の歯の突き上げで位置がずれて捻転している上の門歯を今矯正しています。姿勢が変わってきたのは下の歯にセラミックを足して上の歯の矯正が始まってからです。最初はスチールの線で口内炎が出来て痛くてしょうがなかったのですが、1週間ほどしたら慣れて口内炎も出来なくなりました。今でも2〜3週間に1度歯医者さんに行っていますが、経過はとても順調だとの事です。(今日も午後から見ていただきました。)
昔本で向こうの有名なヴァイオリニストが生徒が歯が悪いと言うと歯医者さんに行かせたという話を読んだ事がありました。その時は歯ぐらいで弾く事に影響などある訳がないと思っていたのですが、このところの自分の変わりようを見るともっと早くやっておけば良かったなとつくづく思います。
今日はレッスンと来週土曜日の勉強会のプログラム作りに追われ、夜はトップページなどに手を入れていたのでアッという間に日が変わってしまいました。今日もプリントしていたらリセットがかかってしまったのですが、どうもフロントトレイを使うと良くないようです。それにしても不思議なことに1枚の書類をプリントするのに要する時間はOSやソフトがバージョンアップして高機能になっても全然減りません。パソコンを使うことによって私達の生活って本当に便利になっているのでしょうか?
今日のレッスンでは自分の練習での収穫を活かして、新しい試みをやってみました。それが実を結ぶのには最低でも1〜2月はかかるので現段階ではまだご紹介出来ませんが、生徒達に良い影響が出るとうれしいです。(自分自身ではとても良い影響があり、横で見ている栄子先生も認めています。)
そのキッカケになったことは実は前にも何度も試したことがあることなのですが、楽器の持ち方や姿勢が変わったことに伴ってやっと実を結んだのです。このように新しいことを試すにしても、自分の状態や自分を取り巻く環境によって同じことをやっても全然効果が出なかったりビックリするほど変わったりとさまざまです。後から考えると当然のことでも、その時はすぐ目の前に目標があってもその事に気がつかずに通り過ぎてしまい、あさっての方角に行ってしまったりするものです。それを横で見ていて生徒が道を外れないように導いてくれる先生の存在はとても大きいということに改めて気がつきました。生徒達も言われてすぐ良くなる子と、全然気がつきもしない子とさまざまです。
とにかく一番いけないのが思い込みです。本質が見えていない状態の感覚など何の根拠もないのです。とにかく起きていることを素直に受け止めて、何が悪くてどうすれば良いかを自分で考えてみることです。本人が気がついていなかったり大事な事だと思っていない場合は、周りでいくら助言しても本人にはその助言の意味が分からないので馬の耳に念仏状態になってしまいます。(先生の役は生徒の耳が馬の耳にならないようにしてやる事です。)
今朝から教本のプリントをしようと思ったのですが、プリンター(Microline 2030N)が時々リセットされたりフロントトレイの用紙サイズを変更するユーティリティ(OS Xで動くユーティリティは出ていないので、Classicの元でユーティリティを開かないといけません。)の在りかが分からなかったりで1冊のプリントの為に2時間位かかってしまいました。今生徒に渡している教本はPageMakerのバージョン5の頃作ったものが基本になっているので、それから6、6.5、7の時代があって(ここまではOS9で動くソフトです。)、そのあと今はInDesignを使っています。バージョンアップする度に保存しなおしていれば良いのでしょうが、6の頃作って後はプリントしかしていないようなファイルは今のInDesignで突然開くと色々問題が起こります。内容も色々変更しないといけなくなっているので、この際譜面からもう一度作り直そうかなと思っています。(今はPowerbookからプリントする事は可能なので、プリントがまだ出来るうちに新しい教本を作りたいのです。)
サンバレーの店主のひとりごとに「母音オーディオ」のすすめがありましたが、演奏にも同じ事が言えます。これはジュリアード音楽院の名教授イヴァン・ガラミアンの書いた「ヴァイオリン奏法と指導の原理」という本の中にヴァイオリン演奏の母音と子音についての記述があります。音の芯になる部分が母音的要素で、その音を明確にする役目をするのが子音的要素です。広い会場で隅まで音を通らせる為には子音的要素を少し強調して弾く必要があるのです。ただその節の最後にガラミアンが書いているのは『「子音的な音」が多すぎるのは「母音的な音」が多すぎるより、はるかに不快な上に、どちらかが多すぎる事も極端に望ましくない事だからである。』という事です。『大ホールに適するように母音と子音のバランスを注意深く調整する必要がある。』とも書いています。(欧米の言語の場合strとかspのように子音だけが連続する場合もあります。その子音の連続が音を遠くに飛ばす役を担っているのです。それでも子音が多すぎると不快だという事です。)
これはそのままオーディオにも言えるでしょう。子音を求めて臨場感や演奏雑音、更には松やにの飛ぶような音を再生する事ばかり追い求めるのは、言ってみればドウラン化粧をすぐ近くから虫眼鏡で見るようなものです。弾き手はだれも当然そんな音で自分の演奏は聴いて欲しくないものです。
楽屋でいつも我々が笑うのは、「松やにの飛ぶような音って言うけど、松やにがいくら飛んでも音なんかしないのだよね。」という事です。松やにの飛ぶような音なんていうお言葉、一体誰が言い出したのでしょうね?
昨日そろそろ寝ようかなと思った時にMacPeopleを見ていたら、Eudoraのアップデータが出てMailのデータを読み込めるようになった事が出ていました。また私が愛用しているアイデアプロセッサInspirationのOS X対応版の7.5bが紹介されていました。
もともと私はEudoraをずっと使ってきたのですが、OS Xに移行した時に迷惑メールに対応しているという事でMailに移行しました。ですが結局は迷惑メールに対しては大して有効には動作しませんでした。また普段の動作についてもEudoraの方が今まで使っていたせいもあって感覚に合います。そこでEudoraをダウンロードしてみて動かしてみたのですが、結局Mailで行く事にしました。最大の原因は複数のメールを保存する時に、EudoraとMailを較べるとMailの方がはるかに見やすいからです。Entourageも試してみましたが、メール1つずつは保存出来ますが1月分のメールを保存するという事は出来ませんでした。
もう1つのインスピレーションの方は今まではバージョン6のClassic版を使っていましたが、一刻も早くOS X対応版が出て欲しかったのです。今回ダウンロードしたInspiration7.5bは日本語の入力は出来るのですが、ウィンドーの上部のファイル名は文字化けしてしまいます。ですが前のバージョン(日本語版)で作ったファイルもそのまま開けるし、メニューが英語である以外は別に使う時に戸惑う事もないので試用期間が終わったら正式に買おうと思っています。
実はこの他にバックアップソフトもずーっと良い物を捜していました。この前Synchronize! Pro X-Jという物を見つけたので、一度試してみたいと思っていました。今回iMac G5を導入した事でファイルの同期についても考え直さないといけないので、本気で導入しようかと思っています。
久し振りに本気でMacを見ていたら、家にある物はかなり時代遅れの物が多い事に気がつかされました。今から5〜6年前までは必ず1台その時最先端の物を持っていました。ところが今ではiMacの性能が良くなり、拡張性以外はiMacの一番良い物で充分です。ところがPCIスロットを使う物を使おうとするとPowerMac G5以外にありません。その中では1.8GHzのシングルプロセッサが一番良いです。また理恵子のiBookもG3/500MHzではいささかキツクなってきました。それに私のPowerbookもしばらくすると液晶がダメになってしまうでしょう。本当に金食い虫.......
今日もサヴァリッシュ先生は指揮棒を持つととても元気になられます。先生はずーっとマッサージを受けられていたそうで、本番で振られるだけでかなり大変なはずです。ですが本番ではとても頑張られていて、こちらも自然と皆が気持ちを一つにして頑張りました。私が入団した時にはもう既に先生はN響を振られていました。その先生が本番の時にもイスに腰掛けながら振られている姿を見ると、とても寂しく感じてしまいます。
それにしても先生の頑張りには驚かされます。今回の来日にはとても賭けていらっしゃるという事で、私達としてはとても光栄な事ですがとても心配になります。次の定期はハイドン、ブリテンのヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェンの7番というこれまた大変なプロです。今日は1曲目からお客様の拍手がすごく、会場丸ごと盛り上がっていました。
私は先生が1998年に振られたシューマン特集がとても印象に強く残っています。もちろんハイドンもベートーヴェンも素晴らしいのですが.......私は次の定期は降り番なので今回は今日で先生の定期は終わりです。
今日と明日はB定期の本番です。今朝11時からのゲネプロではサヴァリッシュ先生はイスに座りながら指揮されました。サヴァリッシュ先生というと今までは3ピースに赤いネクタイというのが定番のスタイルでした。今回は最初はネクタイをされていましたが、ノーネクタイで練習されています。練習前は疲れていらっしゃるような様子ですが、指揮棒を持つと急に活き活きとされています。
私など入団した頃から先生の指揮を見ていますから、今回のようにイスに座られながら指揮をされるというような事はある意味カルチャーショックです。でもビックリするのは今回のプロではイベールのフルート協奏曲、次の定期ではブリテンのヴァイオリン協奏曲を取り上げられている事です。先生は若い頃からご自分にもとても厳しい方で、ご自分が間違えられた時はとてもご自分を責められていました。自分の間違いを人のせいにするような事はありませんでした。
今日の本番を弾いていて先生の本領が出ていたのはシューマンだったような気がします。
今日の本番でイベールの演奏中、私は舞台袖にいました。そこでは今回先生がイベールとブリテンを取り上げられている事が話題になっていました。その話の中でドイツ人のヴァイオリニストの話になり、今回ブリテンを弾かれるツィンマーマンとテツラフの話になりました。テツラフの話になった時に前にも書いた津田ホールで弓の頭を飛ばした話を私がしたら、Tさんが学生時代に上野の文化会館でN響の定期でアイザック・スターンがブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾かれた時の話をされていました。とても素晴らしい名演だったそうですが3楽章のコーダの直前のカデンツァでちょっと弾き損なったそうです。スターンさんはそれを気にしながら舞台袖に戻り、なんと舞台袖にあるピアノに名弓Tourteをぶつけて頭を飛ばしてしまったそうです。(弦楽器の事故はこのように圧倒的に弓に起こるものです。)
私達が曲降りで舞台袖にいる時はいつもこのような裏話に花が咲くものです。今日もその話のあと色々なヴァイオリニストの持っている楽器の値段の話になり、私達とは1桁ないし2桁違う億単位の世界の話に花が咲きました。
そういう舞台裏での話という意味ではゲネプロの時にイベールのフルート協奏曲を降りているYさんとアンプの話になり、 真空管に入れ込んでWEを聴けば良いと言う事は勿論分かるけど、TU-870+Entry Sで聴いても充分肝腎な部分は分かるという話にしばらく花が咲きました。(Yさんは私が他の人の何倍もの速さで突き進んでいると言われていました。私は単に気になる事があるとそれを解決しているだけなのですが......)私の感じから言うとスピーカーの違いというのは、他の人の演奏を聴く時にどこからその演奏を聴くかという事と同じような感じがします。例えば私の持っている物で言うとRogersはステージの上で少し離れた所に立って聴いている感じですが、Stirlingは会場のS席に座って聴いているような感じです。どちらが良いかではなく、どちらも実像なのです。つまり音をどう聴くかの問題なのです。(どうでも良いような事に白黒をつけるより、どのような場所から聴いても同じように聞き取れるものを見つけ出す事が大切なのです。その中からそれぞれの個性が浮かび上がってくるからです。)
というような色々な事を仲間と話し合ったとても貴重な経験をした一日でした。
今日もB定期の練習でした。今日はシューマンの序曲・・・とイベールのフルート協奏曲を練習しました。急に編成が小さくなり私はイベールは降り番になってしまいました。シューマンの曲は弾いているとまるでピアノソロのような感じがしてきます。テンポの取り方や表情の付け方などまるで一人で弾いているようにピシッとまとまるように細かく何度も弾き直して練習しました。シューマンを取り上げるとサヴァリッシュ先生の本領がとてもよく発揮されると思いますので、明日からの本番が楽しみです。そのあと午前中にイベールのカラオケ練習をして、午後からソロと合わせる予定です。
というようなことで私は昼過ぎには家に戻っていました。花壇の手入れを手伝ってから車のオイル交換をしに行き、合間にAudiのA6の試乗をしました。車を替えるつもりは全然ありませんが、新型になったA6の感じを味わってきました。乗った感じはとても良かったのですが、フロントグリルはどうしても好きになれませんでした。
夜になってリビングで理恵子のCDを聴いています。今までリビングの音は軽いのですが、legato(音と音が切れずにつながって演奏する事)の感覚が今一つでした。ところがこの前WEの300B(9952)に差し替えてから音のtenutoとlegatoがとてもよく出るようになりました。私自身は不本意ながらこの音のパフォーマンスは認めざるを得ません。(コストパフォーマンスは良いとはとても言えないから不本意ながらと言うのです。)
不思議な事にメインシステムがグレードアップしてもエレキットのTU-870+Entry Sを聴いて別に不満は感じません。結局は出てきた音をどう聴くかだけの問題です。どの管でもどんなアンプでも良い演奏は良く聞こえますが、良くない演奏はどうやっても良く聞こえません。私はアンプの本領を聴こうとする時は演奏の方もこの曲はこの演奏で決まりというようなものしか聴きません。なぜなら自分が入れ込めないような演奏で試聴しても演奏の方に気を取られてしまって、落ち着いて聴けないからです。(どれがその曲の名演かという事まで含めると、ステレオを聴くという作業1つをとってもとても根の深いその人の価値観の問題まで関係してくるとても複雑な問題です。結局はその人自身の問題でその人にとって良ければ、他の人がどう感じようとどうでも良い事なのです。おととい書いた許容量が狭くても自分にピッタリはまれば自分にとっては名器であるのと全く同じ事です。ですから試聴記を参考にするなら自分と同じ感覚を持っている人の意見を参考にするしか方法はありません。誰にでも通用する最大公約数の意見などあるはずがないのです。)私はそういうソフトで色々なアンプを聴くとそのアンプの性格がつかめるので、初めて聴くソフトの場合でもそのソフトが本来どういう音で聞こえるべきかが分かるのです。(これは私の独自なやり方です。他の方には通用しないでしょうが仕方ありません。)
今日はサヴァリッシュ先生の練習でした。サヴァリッシュ先生は体調が勝れないという噂が聞こえてきてずっと心配していましたが、今日はお元気に私達の前に登場なさいました。
練習が進むに従ってどんどん調子が出てきたようで、声も段々大きくなってきました。サヴァリッシュ先生は今まで午後は1コマで必ず練習を終わりにされていたのですが、今回は練習のスケジュールのせいもあるのでしょうが今日は4コマ目まで練習されました。ただお疲れという事で休憩時間は15分ではなく20分とられていました。
練習はブラームスの1番の3楽章から始まり、4楽章1楽章2楽章の順で進みました。午後からはシューマンの序曲、スケルツォ、フィナーレをフィナーレ、序曲、スケルツォの順で練習しました。明日はシューマンとイベールのフルート協奏曲を練習します。練習が進むに従ってどんどん調子が出てきて、いつも通りの練習になっていました。