ひとりごと2004年9月分  


このページは私の日記のようなものです。私の感じること、周りで起こったことを書きます。


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栄子先生のピアノ教室プロフィールひとりごとも是非ご覧下さい。


9.30

 昨日6年落ちの我が家の食洗器が動かなくなってしまいました。その修理と送金をしなければならないので夕方まで手一杯でした。夕方レッスンをしたあと新しいホールを見に行ってきました。響きがとても良く、ここで弾くのはとても楽しみです。

 この写真は2階席から撮ったものです。2階席の手すりが低くてステージが見やすいのは良いのですが、身を乗り出すといささか恐い感じです。今まで使っていたホールはとてもデッドで弾くのにとても苦労していたのでもっと響くホールを探していたのですが、ここはなかなかの音響です。
 最初はピアノがステージの中央に置かれていたのですが、ステージの前に移動したら良い音になりました。私も試しに弾いてみましたがこれならコンサートを開けそうです。

 今回の降り番も明日1日だけになってしまいました。なかなか落ち着いて休めません。あさってはNHK音楽祭の練習です。普通練習は高輪の練習所でするのですが、今回はホールでの練習です。ホールでいつも練習出来たらN響もさぞかし良い響きになるでしょう。
 今日の夜ワルベルク先生(81歳)のご逝去の一報が入ってきました。ご夫人とお子さんに看取られて安らかに永遠の眠りにつかれたそうです。


9.29

 今日からN響はB定期の本番です。今日のプロの後半の第1曲パガニーニの無窮動は今回はファーストが弾いているそうですが、前にファーストとセカンドの人がステージ上にずらっと並んで弾いた事があります。また今回は前半にメンデルスゾーンのスコットランドが来て(普段はメインプロとして弾かれます。)、メインプロがセミラーミデ序曲という前代未聞のプロです。10月3日のNHK音楽祭では前半はロッシーニの序曲3曲「シンデレラ」「セミラーミデ」「ウィリアム・テル」、後半はブラームスの4番を弾きます。この前半の3曲が定期で弾いたロッシーニの序曲達です。(私はシンデレラとセミラーミデは弾いていないので大変です。)このプロはお得意なロッシーニの曲とブラームスの組み合わせで、今回はどのコンサートもお得意のロッシーニとロシア、チェコ、ドイツという色々な国の曲の組み合わせで、オール・ラウンド・プレーヤーとしてのサンティ先生をアピールされています。
 N響ではサンティ方式と言われる独特の対向配置は、コントラバスが下手側に一列に並ぶのがトレードマークです。サンティ先生とかブロムシュテット先生のように対向配置をトレードマークとしていらっしゃる指揮者の場合は実際に効果を上げるのですが、普段対向配置をやっていない人が面白いからと取り上げてもまるで効果が上がりません。というよりセカンドに合図を出す時に「あれっ?」というような顔をしてセカンドを探したりするのがオチなのです。(今まで何人もの人が普段やっていない対向配置をやりましたが、成功した事はありません。)
 そのサンティ先生の場合でもハイドンやモーツァルトなどの小編成の曲の場合、特にピアノで弾く時には反対側のファーストの音が聞き取れず苦労する事があります。私はやはり基本的には普通の配置で弾き、対向配置に慣れている指揮者のリクエストがある場合のみ対向配置にするというのが良いと思います。

 先週末の真空管オーディオフェアは雨にもたたられてあまり入りが良くなかったようです。普通の人には手の出ない超高価な(その割に大したことのない)オーディオを売る事を考えるのではなく、多くの普通の人に興味を持ってもらって底辺が拡大したらそれから上を目指すという方が良いのでは?......数少ない物好きを餌食にして商売をしていたら将来など望めないと思うのですが.........(対象の数が少なかったら儲ける為には1件当たりの利益を上げざるを得ないわけで、そうなると今いる数少ないファンを相手に利益を上げざるを得なくなるわけです。そんなことをしていたらそのうち周りには誰もいなくなります。)
  熱烈なファンにも一言、初心を忘れずに最初に買ったステレオの音を聴いた時の感激をもう一度思い出して欲しいです。Stradやdel Gesuという名器が弾き手に技術的にも音楽的にも多大な要求をするように、ステレオも名器は聴き手に多大な要求をします。ステレオの評価をするには電気的技術的な知識はもちろん必要ですが、それと同様に音楽的な知識と技術も必要です。
  ステレオと音楽は尺度が違う方向を向いています。再生音楽を聴いて全てをステレオという尺度で理解しようとしてもそれは無理です。ステレオの場合良い音が出ないと自分の責任だとは思わず製品のせいにするのが常ですが、「使い方が悪いだけではないのかな?」とは思わないのでしょうか?(だからオーディオ雑誌は試聴記で花盛り。)楽器の場合はまず自分の使い方が悪いと思って使い方(弾き方)を工夫するものなのだけどなぁ.......(楽器の場合は弾ける人がその場で弾けば楽器の素性はすぐ分かるけど、ステレオは.....?ですから私は再生音楽の織りなす沢山の軸をご存知の大橋さんのような方に聴いていただく[というか診断していただく]のです。勘違いや思い込みで自分が迷路にはまらない為に。)


9.28

 今日は午前中に昨日の中華のお店まで往復しましたが、朝のラッシュアワーと違って1時間半で往復出来ました。いつもこれくらい空いていれば、言う事ないのですが.......
 このところ色々なデジカメに触る機会が多かったので、色々気づく事がありました。私が今メインに使っているのはPENTAXのOptioS4iですが、これの長所は何といっても軽くてすぐに撮れる事です。逆にとても気になるのがよほど気をつけないと手ぶれする事と色が薄い事です。やはり胴体の大きな方が色味は良いようです。土曜日には長谷川先生の、そして昨日はホルンの山本さんのPanasonicの手ぶれに強いデジカメで撮らせて頂きましたが、これはなかなか使い心地が良かったです。Optioは撮る時によほど気をつけないと手ぶれしてしまいます。色の感じは理恵子のデジカメCASIOのQV-R40がなかなか良いです。
 私の個人的感覚では色の点でも手ぶれの点でもこのOptioを買ったのは失敗です。 これだけ軽かったら手ぶれ補正は必需品です。SONYのCyber-shotは待機状態になる迄に時間がかかり過ぎます。(今の最新鋭機は知りませんが、私の持っているP1やP7は遅いです。)


9.27

 今日は午後からオーディションがあり、そのあとつい先頃ご卒業された堀江さんの送別パーティーがありました。
 練習所の近くの中華のお店で6時半からパーティーがありました。この前の定期の時は堀江さんは私のすぐ後ろにいらっしゃり、私は練習の時からとても緊張していました。

 私の堀江さんの一番の思い出は色々な曲の指遣いを教えて頂いた事です。(私は今もその時教えて頂いた指遣いを使っています。)N響に入団した頃の私にとって堀江さんは憧れの方でした。その堀江さんが初代のアコードに乗っていらっしゃったのでその頃免許取り立ての私もホンダに乗るようになったのです。(私は今もホンダのインスパイアに乗っています。)
 堀江さん、これからもご活躍下さい。そして私達を後押しして下さい。永いことお疲れさまでした。

 右の写真の堀江さんの左隣にいらっしゃる方が板橋さん、QUAD II+22をサンバレーの大橋さんにオーバーホールして頂いた方です。日を追うに従って音が変わってきてどんどん馴染んできているそうです。今まで聴いていた音と全然違って、とても良い音が出てきていると言ってとてもうれしそうな顔をされていました。

 この会の余韻に浸りながら家に帰ったら何と車のキーを店に預けたままでした。私の車はカードキーでドアが開きエンジンがかかるので、預けたキーがなくても家に帰ることが出来るので家に帰るまで気がつきませんでした。明日キーを取りに行きます。お粗末・・・


9.26

 今朝カウンターを見ていたら900005となっていたので既に90万は超えていたのですが、残念ながら90万をゲットされた方からのメールはありませんでした。今回のプレゼントは不発に終わってしまいました。次回は100万です。Pathインターネットのカウンターは6桁表示しか出来ないので、ちょうど100万は000000になるでしょう。

 昨日の夜はお花の始末が終わって寝たのは2時過ぎでした。
 今日は朝からレッスンがあり、午後は習志野フィルの弦分奏をやって来ました。火の鳥が題材でしたが、たった20分の曲でもやり始めると3時間の練習がアッという間に終わってしまいました。やはりソルフェージュの能力が一番物を言います。倍位の遅いテンポでゆっくり弾いてみるという事を徹底してやるのが一番大切です。聴いたり弾く時に拍子を数える事が上達の早道です。
 そのあと家に戻ってからまた1人レッスンをしました。終わったらグッタリ来ました。

 今日は楽しみにしていた真空管オーディオフェアですが、私はどうしても時間がとれなかったので残念ながらこの次の機会を楽しみに、という事になってしまいました。 サンバレーのSV353とSV310ラインドライバーは是非聴いてみたかったのでした。まだ製品段階ではないと思いますが、SV-353は早く欲しいものです。

 このところMacの話は全然書いていませんが、今度発表されたiMacG5を注文しました。20インチのディスプレーを持つ1.8GHZのものです。今まで家にある物のほぼ倍の速度を持っているので、どれ位のパフォーマンスを披露してくれるのか楽しみです。(と同時に家にあるMacのOSを全てXにしようと思っています。と同時に栄子先生のiBookG4と今度のiMacはAirMac Extremeのカードが載っているので、家のEtherも10Base-Tではなくもっと速い物にしようと思っています。理恵子のiBookだけがOS9で動いているのですが、G3の500MHzではいささか荷が重いです。といっても普段ポーランドでインターネットをやるくらいなら充分なのですが.......)前作のiMacG4をよほど注文しようかと思っていたのですが、今一つ決め手に欠けるような気がして見送っていたのです。実は17インチのiMacを触ると画面の広さがとても目に優しいのです。狭いPowerbookの画面をにらんでいるのがキツクなってきたのです。

 今度のiMacはディスプレーの中に全てが入っています。その上Bluetoothのワイアレスキーボードとマウスをオプションで頼んだので、コードに邪魔される事もありません。今までレッスン室にあったiMacG4(800MHz)をプリンタのサーバーとして使い、今までのPowerMacG4(400MHz)はお役ごめんです。そしてレッスン室には今度のiMacG5を入れ、主な仕事はこれでやるようにする事にしました。(Powerbookと今度のiMacのデータの同期には気をつけないといけません。どこに最新版があるか分からなくなってしまうからです。)
 いつごろ配達されるのかな?......今から楽しみです。


9.25

 私は今日はてんてこ舞いの1日でした。午前中にレッスンの後ホールに行き、C定期の本番を弾き、そのあと青山のカワイに行って理恵子のリサイタルに付き添いました。
 C定期の方は特に最後のローマの松は先生の十八番ですから、会場の反応も昨日以上に盛り上がっていました。

 終演後早速表参道にあるカワイのパウゼに行き、理恵子のリサイタルの会場練習を聴きました。今回もとても沢山の方にご来場頂き、本当にありがたい事です。

 本番中に一番後ろから望遠で撮った写真で、これ以上ズームアップ出来ませんでした。この演奏会についての詳細は栄子先生のひとりごとをごらん下さい。(明日アップされると思います。)


9.24

 今日はC定期の初日でした。イタリア人らしくロッシーニはどの曲もとても念入りに練習しました。今回のシンデレラ序曲も長さの割にはとても長い時間練習したそうです。(前回のウィリアム・テルもとても細かく練習しました。)ハイドンの88番はとてもロマンティックな感じに料理されていました。今回のプロは全体にとても短めですが、色々な要素が盛りだくさんなのでとても充実していました。この定期の曲の中ではハイドンが一番弾くのが難しいです。「目と気が疲れる。」とはある人の弁でした。
 休憩後はモルダウとローマの松、特にローマの松はバンダとかオルガンまで登場するとても大編成の華やかな曲です。自分で弾いていても爽快な気分になる曲です。
 明日はいよいよC定期のあと理恵子のリサイタルです。

 今回のA定期の土日への移行についてはアマチュアの皆さんにはあまり評判が良くないようです。よく私にメールを下さるKさんもアマチュアのリハーサルは土日にあるというケースが多い上に、仕事上のセミナーやシンポジウムが土日にあるというケースも多くスケジュールの調整に困るという事です。
 また前回のA定期の時には音はキレイだが何か探るような感じがしたが、今回のC定期ではよくこなれた感じがしていたとの事でした。たしかに対向配置になると音の聴き方のポイントが違うので初めはすごく気を遣うのですが、 慣れてくると対向配置の良さが出てくるのだと思います。対向配置はサンティ先生のようにご自分のスタイルとして確定していらっしゃる方の場合(ブロムシュテット先生もそうです。)は良いのですが、面白いからやってみたいとか試しにやってみたいとかいう事でやっても決して上手くいきません。


9.23

 この週末には色々の事が続けて起こるので、この何日かとても落ち着きません。土曜日は定期のあと理恵子のリサイタル、日曜日は習志野フィルの練習があります。実はこの2日は真空管オーディオフェアがあるので時間があれば見に(聴きに)行きたいのですが、とても時間の余裕がありません。
 今回のC定期は今シーズンからのA定期の日時の変更に伴って2日目土曜日の開演時間は15:00です。会員の皆様はお間違いのないようにご注意下さい。
 今回は1曲目のシンデレラ序曲と4曲目のローマの松はイタリアの曲で、間に挟まっているハイドンとモルダウは違う国の曲です。先生は今回チャイコフスキー、ドヴォルザーク、スメタナというスラブ系の曲を登場させています。その国の人と同じような感じの持って行き方で、どこの国の曲でも持って来いという感じです。(フランス物だけはイメージが浮かびませんが......)面白いのは細かい所の歌わせ方です。モルダウの中の農民の婚礼の中で初めて経験する節回しがあります。この前のウィリアム・テル序曲でも初めて言われたテンポのとり方がありました。
 練習していて面白いのは先生は気になる所があると、突然指揮台から降りてそのパートの所まで歩いて行かれるのです。そして細かくそのパートだけの分奏をされます。そのあと少し前に戻ってそこから全奏(Tutti)で練習をするというパターンです。

 昨日ひとりごとで栄子先生が私の歯の矯正の事を書いたので、その事について書きます。今から1年半ほど前奥歯がかけた事がありました。その時に近くの歯科医で見てもらったら、私は下の前歯が上の歯を突き上げているそうでした。それからまず虫歯を治して、この前のヨーロッパ旅行の頃から矯正が始まりました。その頃から少しずつ楽器の持ち方が変わり、楽に楽器が持てるようになりました。今までずっと悩まされてきた口内炎も最近は小さくなり痕もどんどんなくなっています。昔ヴァイオリンの先生が生徒をとった時にまず歯を治してくるようにお金を上げたという話を読んだ事を思い出しました。歯の噛み合わせは楽器の持ち方にとても大きな影響があるようです。


9.22

 今日は急に休みになったのですが、他に沢山用事があり結局夕方まで全然落ち着きませんでした。夕方からしばらく自分の練習をしましたが、今まで苦労していた事があまり苦労しないで弾けるようになりました。勿論持ち方が変わったからといって変わらない部分は沢山ありますが........
 明日はまたローマの松とモルダウの練習があるので練習所に行きます。(他の2曲シンデレラとハイドンの練習もあります。) 今回のローマの松はサンティ先生の本領発揮で、とても楽しみです。

 今日ステレオのページを書き直しました。特に最後の「私の求める音」というコーナーで私の考えを書きました。


9.21

 今日からは今週末のC定期の練習が始まりました。ロッシーニの「シンデレラ」序曲、ハイドンの交響曲第88番、スメタナの「モルダウ」、レスピーギの「ローマの松」というプロです。私は前半の2曲は降り番です。今日はローマの松とモルダウをみっちりと練習しました。23分のローマの松に3コマ、13分のモルダウに1コマという割り振りです。(明日はプロ前半の2曲だけを練習するので、私はお休みです。)
 1931年生まれのサンティ先生は今73歳という事になりますが、体形からは想像も出来ないほど身体の動きが軽いです。練習の時もほとんど立ちっ放しで、気になるパートがあると指揮台を降りてそこまで歩いて行かれます。前回の来日の時は恐い方だという印象が強かったのですが、今回はとてもにこやかでご機嫌でジョークの連発です。ですが自分の考えは絶対に譲らない方で、歌い回しが違うと何回でもやり直しです。間違えたりすると時々とても厳しい顔をされて、恐さの片鱗がうかがえます。


9.20

 今日は朝からレッスンがありました。皆それぞれに頑張っていて、教える側としてもとてもうれしいです。
 私は最近楽器の持ち方が変わりました。その原因は思いもかけぬところにあったのですが、今までいかに無駄な事をしていたのか思い知らされました。勿論持ち方が変わっただけでは音程も良くなりませんし、全てが解決したわけではないのは当然です。でも今までやって来た中で一番効果の上がった変化である事はたしかです。ただ残念な事に誰でも出来るという方法ではありません。
 面白い事に持ち方が変わった事により、音の聞こえ方も変わりました。楽器を顎で支えようという意識が強いといけないのです。楽器は肩と左手で支えるようにすると楽です。顎はポジションが下がる時の支えに使う程度です。今は前に較べて弾くのが楽になりましたし、弾いていても楽しいです。


9.19

 今日はA定期2日目でした。私は5時半頃起きて成田に理恵子を迎えに行きました。今日は日曜日なので行き帰りともに順調で、9時には家に戻っていました。それから朝食を食べて少し寝てからホールに行こうと思っていたのですが、丁度寝たところに電話が入りホンの一瞬寝ただけでホールに行く事になってしまいました。今日は日曜日なので道は空いていると思ったのに、首都高はいくつも事故があり錦糸町で降りてあとは下の道を行きました。
 マチネの場合は帰りも箱崎まで下の道を走っています。コースとしては原宿の横を抜けて246に出て、皇居の横を右回りに走り大手町から箱崎へ抜けています。代々木から新宿線に入るよりはるかに速く箱崎に出られます。(勿論かなりの部分裏道を使っています。)
 朝早かったせいでプロの前半は集中しないまま過ぎてしまいました。

 今回の時間変更はお客様にも好評のようです。 今まで時間に追われるように演奏会に来てまた帰って行ったのに、とても落ち着いて演奏会に来られたという方もいらっしゃいました。私達自身まだこの時間変更が身に馴染んでいないので、まだペースが作れません。


9.18

 今日は改装なったA定期の初日でした。本番は今までより1時間早い18:00開演なのですが、皆とても早くホールに戻っていました。今日は初日ですからまだペースが出来ず、皆口々に安心して時が過ごせなかったといっていました。お客様の方はどんな感じなのでしょうか?
 今回の演奏会は新装なった定期を飾るにふさわしい演奏でした。サンティ先生はとても細かく音量とアゴーギクをコントロールして とてもニュアンスにあふれた演奏でした。音だけ聴いているとまるでしゃべっているように聞こえるでしょう。この前の悲愴も今回の新世界もイタリア音楽ではないのに、素晴らしいまとまり方でした。

 明日はいよいよ理恵子が戻ってきます。(というようなわけで今日はこれで失礼します。)そのあと私は15:00から本番があります。家に戻って少し昼寝をしてからすぐホールに行きます。


9.17

 今日は練習最終日でしたが、最初に新世界の2楽章を練習しました。2楽章に1コマまるまるをかけるくらいの練習で、今まで経験した事のない練習でした。2楽章の初めの家路のテーマまでの部分でほぼ1時間かかってしまいました。サンティ先生は細部に至まできっちりとご自分のイメージがあり、今までで初めての経験でした。今回の新世界は多分聴いても素晴らしい出来であろうと思います。
 ただ練習自体はとても細かくやられるので、なかなか進みません。例えば最初の1コマではトロンボーンと第1ヴァイオリンの部分をジックリ分奏からやれたので、私達第2ヴァイオリンはほとんど弾かないうちに1時間が過ぎました。
 今日の練習など本来の意味でのソルフェージュと音楽の関係を見直させられます。日本の音大で行われているソルフェージュと実地の音楽との乖離をすごく感じました。

 前にも書いた通り9月からのA定期は土曜日18:00〜(19:00ではありません。)と日曜日15:00〜(14:00ではありません。)に移りました。 今までとは関係のない時間ですので、勘違いのないように定期会員皆様にはお願い致します。


9.16

 今日は昨日練習しなかったウィリアム・テルとハフナーを練習しました。何と言ってもウィリアム・テル序曲の練習に午前中2時間をかけた事が先生の意気込みを感じさせます。1フレーズ毎に止めて細かく注文を出すという例のスタイルに更に念を入れたやり方で、なかなか練習が進まないのですがさすがに出てくる音はどんどん整理されて行きます。
 午後からはハフナーを練習しました。そのあとプレオーディションがあり、先ほど帰ってきました。


9.15

 今日はサンティ先生のA定期の練習でした。今日は新世界だけを一日練習しました。サンティ先生の新世界はとても正攻法のアプローチで、真っ正面から新世界に相対している感じです。明日は「ウィリアム・テル」序曲とハフナーの練習をします。サンティ先生は色々注文をつける時はイタリア語でしゃべられるので、内容がよく分からないところがあります。店村さんや岩村さんなどイタリア語に精通されている方が大事なところは説明して下さるので大事なところは分かりますが、ニュアンスに関係するようなところはあまりよく分からないというのが本当のところです。(その分先生は我々が分かるまで細かく説明されています。)

 昨日書いたドメスティック・オーディオについては色々なご意見があるようです。音が仕事になっている私ですから持っている装置が聴衆の皆さんから見て高いのはたしかだと思います。(そうでなければ演奏を人様にお聴かせする準備など出来ません。)でも筋金入りのオーディオファンの皆さんが持っている物から見ると私の持っている物など1桁安い物です。でも出てくる音のコスト・パフォーマンスは皆さんの想像をはるかに超える効果が持てるのです。更に言うとエレキットの6BM8シングルアンプTU-870とALR JordanのEntry Sに携帯用のCDプレーヤーをつないだ10万もしないシステムでも充分に楽しめます。(これは私のサブシステムです。)
 音はとても個人的なもので、実際その音を聴かなければ本当の姿は分からないです。皆自分の音と経験を基準として、人の話を聞いてその音を想像しているのです。苦労して今の音に到達した人ほど他人も同じ苦労をしないと自分と同じ音を獲得出来ないものだと考えがちです。でも音というのはとても本能的なものです。体得するのにすごく苦労する人もいる反面、人によっては本能的に一瞬にして体得してしまうケースもあるのです。(同じ事は演奏についても言えます。ある曲を弾くのにとても苦労する人がいる反面、才能のある人はすぐに消化してしまうのです。)
 大橋さんとドメスティック・オーディオという話をしているのは、「スピーカーが300万、アンプに200万、CDプレーヤーに100万等という大金をつぎ込まなくても、その10分の1くらいの出費で充分音楽を楽しめるシステムが手に入るよね!」という事を言っているだけなのです。つまり600万で装置を買って何1つソフトがないより、60万で器械をそろえて残りの540万で演奏会を聴きに行ったりCDを買ったりした方がはるかに得だという事の表現がドメスティック・オーディオという言葉なのです。つまり無理して高額な器械を求めるより、出来るだけ本来の目的である音楽をたくさん聴いた方が良いという事です。もっと煎じ詰めるとバランスが大切というだけの事です。(昨日も書いたように良いお道具を持つ事こそ生き甲斐という方とは接点はありませんのでどうぞ無視なさって下さい。QUADの意味Quality Unit Amplifier Domesticの最後のDomesticをとってドメスティック・オーディオと言っているのです。良いステレオも生活空間に馴染んでこそ初めて本来の音楽再生装置としての意味を発揮するという事で、「家族皆で楽しむオーディオにしようよ!(Domestic Audio)」という提案なのです。「オーディオ(音楽)は女子供には分からないもの!」ではないのです。)


9.14

 大橋さんのひとりごとに載っていたドメスティック・オーディオについてお話します。
 私達にしても人の演奏を聴く機会はCDやレコードを通して聴く機会が生を聴くより圧倒的に多いものです。ですからオーディオの音質はとても大きな問題です。ですが私にとって最も大切なものはオーディオではありません。普段の生活の中で良い音が聴けるのでないと困るのです。(どういう音が良い音かという基本的な問題があり、この前提条件を認められない人にとっては縁のない話です。良いお道具を持つ事こそ生き甲斐という方とは接点はありませんのでどうぞ無視なさって下さい。)普通の感覚の方にステレオに興味を持って頂くためにはまず気楽にステレオを聴いていただく事が大切です。音色などは後から少しずつ求めて行けば良いのです。私達が最初とにかくヴァイオリンを弾き、慣れてくるに従って少しずつ腕に合った物にグレードアップするのと同じです。(高ければ良いというものではないのは楽器もステレオも全く同じで、初心者が名器を欲しがるのとよく似ています。Stradは有能な弾き手を必要とするのです。腕が伴わなければこんなに弾き難い楽器はありません。)
  例えば私の場合レッスン室にマルチチャンネルのシステムなど邪魔以外の何者でもありません。(生徒がステレオをよけながら弾くなど本末転倒です。) それに特別なところに行かないと聴けないというのはそれだけで負担になります。それでは聴く機会が減るというものです。生活空間を侵さない範囲で出来るだけ良い音を求めるというのがドメスティック・オーディオです。(一つ付け加えると特性より表現される音を大事にしているのです。)私の家ではテレビを消してすぐ皆で誰かのCDを聴いてみるなどという事は日常茶飯事なのです。その切換がすぐ出来る配置でなければ意味がないのです。音楽を聴く事は話をするのと同じ次元の出来事だから.....(但し「山椒は小粒で、ピリリと辛い」が信条です。ウドの大木ではまるで意味がないのです。)
 この事について話し始めるといくらでも言いたい事がありますが、要は良い演奏を聴いてそれを楽しめれば良いのです。


9.13

 この前大橋さんがいらっしゃった時に改めて聴いたRogersのLS5/9の素晴らしさに刺激されて、これを隠居させておくのはあまりにも勿体ないのでいつでも聴けるようにしました。プリアンプSV-722の出力の1つをメインアンプSV-9Tに入れ、その出力をRogersにつなぎました。RogersはStirlingと並べておく場所がないので、Stirlingの反対側におく事にしました。Rogersはこれと一緒に譲り受けたスピーカースタンドに載せる事にしました。スタンドとスピーカーの間にはコーリアンの小さい丸い玉をかませています。

 大橋さんがいらっしゃってから何回もRogersを聴いていますが、TANNOYよりはるかに音が近くに聞こえます。これくらいニアフィールドに聞こえるスピーカーの場合、不必要に細かい部分を強調せずに全体をまろやかにまとめるのはなかなか難しいです。 逆にTANNOYの場合は全体をまろやかに聞かせるのは簡単です。でもその中でバランスを崩さずに細部を聞き取れるようにするのはRogersをまろやかにまとめるよりはるかに難しいです。(これが上手く出来ないとボヨ〜ンとしたまとまりのない低音が出来上がってしまいます。)ですからTANNOYの良さがなかなか認められないのでしょう。更に言うとTANNOYなら何でも良い音が出るわけではありません。(StirlingとTurnberryの違いなどはその好例です。特にTurnberry HE/75は良くありません。Stirlingの方がはるかにまともです。)私にとっては何といっても床がしっかりしている事が大切です。更にボードとインシュレーターを上手く使う事も助けになります。セッティングの詳細は実地に試して見るしかありません。やっているうちに自然に方向性が見えてきます。
  私の場合アクセサリーのたぐいは皆とても安い物です。コード類もメーター800円位の物です。ボード類もせいぜい何千円です。
 今の私の部屋が出来た時に急いでスピーカーを入れたくて当時のオーディオ雑誌を頼りにあるスピーカーを買いました。とても有名な物で一時期定番になっていた物です。(今でもそのメーカーのスピーカーは定番で通っています。)ところがいくらセッティングを工夫しても思ったような音が出てこないのです。それを見かねてその頃私のアドバイザーをしてくれていた人が、Rogersを仲介して下さったのです。「しばらく聴いて気に入ったら買ってくれれば良いから。」といって貸してくれたのです。前の持ち主がとても大事に使っていたようで、状態はとても良かったです。これを家に持ち帰って鳴らしてみたらRogersの方がはるかに良くて、最初に買ったスピーカーはそれから二度と聞きませんでした。市場ではこの何ともいい加減なオーディオ評論のおかげでこのスピーカーにはそこそこの値段がついていたので、値が下がらないうちに早々に売り飛ばしました。


9.12

 今日はオーチャード定期でした。前半のヴェルディ名曲集はあまり演奏しない曲が多いので、仕掛けがよく分かっていないのでとても難しかったです。後半の悲愴はテンポの設定がよくやるのととても違っています。第1楽章の主部の出だしがとても速くて、私のところで聴くと音が回っているように聞こえるのです。練習所でも同じ事を感じたのでオーチャードホール特有の問題点ではないのですが、とても弾き難かったです。その事はともかくサンティ先生のレパートリーの広さには驚かされます。今回の悲愴もロシア音楽にもかかわらずとても細かく弾き方の指定が飛んできます。その指示はとても的確です。

 今日の本番の終わりではサンティ先生が静かに終わった後の余韻を楽しむように静かに身体を動かさずにいたのにもかかわらず、タイミングの悪い拍手があった事がとても残念です。指揮者がわざと動きを止めているのにどうしてその間くらい静寂を楽しまないのでしょう。他のお客さんに与えた影響を考えて欲しいものです。(他のお客様もお金と時間をかけて聴きにいらっしゃっているのです。他の方の余韻を楽しむ自由を奪って欲しくないです。)
 この終演時の不愉快さを別にすれば、今日の演奏会は素晴らしかったと思います。(途中で思いもかけぬ事故がありましたが......)次の「ウイリアム・テル」序曲、ハフナー、新世界というA定期もとても期待出来そうです。


9.11

 今日は午前中は悲愴の練習をしました。1楽章の主部のテンポはかなり速めです。といっても一度ゆっくりになってからの速い所は思ったほど速くありません。細かい音符の処理も独特なやり方で、対向配置である事もあって合わせる事だけでも難しいです。でも聴いてとても楽しめる演奏だと思います。
 今回サンティ先生はとてもご機嫌で、練習の時も冗談を言ったりでとてもニコニコされています。
 午後からはヴェルディの名曲集の合わせをしました。アドリアーナ・マルフィージさんのソプラノソロです。ヴェルディの曲はほとんど演奏しないので、細かい呼吸の取り方は難しいです。サンティ先生はカラオケでの練習の時からご自分で歌われています。さすがに隅から隅まで曲を熟知されているので、何かあるとすぐ細かい指示が飛んできます。明日の演奏会は聞き物だと思います。

 私のステレオの聴き方について更に一言付け加えます。それは何を基準に音を聴くかという事です。私はシステムの音を決める時はその演奏の特徴をよく知っているソースを選びます。それを再生して2つのスピーカの間に演奏している像がポッと浮かび上がるかどうかを聴くのです。
 高音がどう低音がどうというような事は最初は全然聴きません。(勿論上に書いた像が浮かび上がるようになったら、音域のバランスはとります。でも音域のバランスが最初に問題になるところではないのです。)もっともこれは音の癖が充分分かったソースを使わないといけません。今私は4〜5枚聴き較べにいつも使うCDがあります。皆さまも是非とも自分のお気に入りのソースを少なくとも4〜5枚持って色々なジャンルの音楽を聴いてみて下さい。そうすると段々自分のシステムの個性というか癖が分かってきます。そうすると細かい調整も段々出来るようになってきます。(その結果として私の場合フローリングの板半枚分だけ内向きに振った方が音が良いとか、スーパーツイーターのレベルが18kHz、86dBが最善であるという結論がハッキリと見えてきました。)
 何と言っても元の音をよく知っているソースのある事が一番良いでしょう。


9.10

 今日からサンティ先生の練習が始まりました。先生はセカンドが上手に行く対抗配置をトレードマークにされていますが、普通の対抗配置と違ってコントラバスが下手側に一列に並びます。(練習所では場所の制限から最後のプルトが2列目に行っていますが、本番は一列に並ぶそうです。)サンティ先生の場合はこの配置で弾くと独特の迫力があります。(形だけ真似をしても他の人がやると良さが出てきません。)今回は前半がヴェルディの名曲集、後半が悲愴というプロです。私達からいうと悲愴をどう料理されるのかとても楽しみです。

 昨日大橋さんに私の家のステレオの音を聴いて頂いた件の続きです。
 昨日大橋さんに聴いて頂いた楽器と弓の件ですが、2台の楽器は私のメインとサブの楽器です。3本の弓はメインとサブと予備です。昨日自分で弾いていて感じたのですが、やはりメインの楽器とメインの弓、サブの楽器とサブの弓という組み合わせがともにバランスがとれています。例えばメインの楽器をサブの弓で弾くとやはり鳴り切らない感じがあります。逆にサブの楽器をメインの弓で弾くと弓がもったいなく感じてしまいます。やはり楽器と弓のバランスは大事です。大橋さんが良い音だと紹介されていたのがメインの楽器とメインの弓の組み合わせです。聴いていてもやはりこの組み合わせが一番印象的だったのでしょう。(皆さんは高い物が良く聞こえるのは当たり前だと思われるかもしれませんが、弓の善し悪しなどを聞き分けるのはなかなか大変です。5本の弓を良い順に並べるように言われたプレーヤーが、やってみたら正反対に並べたという話もあるくらいですから.....)
 昨日大橋さんに聴いていただいた3つのセットの中で私が一番気になっていたのはリビングのQUAD66プリ+SV-501SE+Devonの組み合わせです。このDevonは25年近く私の手元にありメインとして活躍してくれたスピーカーです。良くも悪くも私のオーディオ遍歴はこのDevonが決定的な鍵を握っています。今までセッティングや組み合わせるアンプを色々やってみてやっと今のセッティングに到達したのですが、その過程に私の思い込みが強く影響しているのではないかという不安がずっとつきまとっていたからです。今のDevonのセッティングは大橋さんのおっしゃるようにややナローな方なのでしょうが、この方が音楽を聴いていて気持ちが良いのです。(低域を伸ばそうと何度もトライしましたが、そのバランスの悪さが気になって仕方ありませんでした。)昨日も大橋さんの携帯に電話がかかってきた時にボリュームをかなり絞ったのですが、不思議と音の芯は小さい音量でも死なないでちゃんと聞こえていました。これには私自身驚きました。(普段こんなにボリュームは絞りませんから初めてこの事に気がつきました。)私の家のシステムの音は周波数特性を測ったら決して褒められたものではないと思いますが、私にとっては特性などどうでも良いのです。ですからオーディオ的な観点を充分ご承知の上で私の音を聴いてのご意見をお聞きしたかったのです。大橋さんに忌憚のないご意見を伺えて昨日は本当にうれしかったです。 (1階のStirlingで有効だったスーパーツイーターをDevonにも使ってみるのが良いのではないかというのが大橋さんのアドバイスでした。低域に有効に作用するでしょうとの事です。スーパーツイーターを追加したら低域が活きるというのは逆説的な表現ですよね。でもStirlingの音を聴くと本当に中低域に有効に作用します。実はこのスーパーツイーター、頼んではあるのですが手に入るかどうかは未知数です。)
 昨日色々お話を伺って感じたのは私の感じるのとほとんど同じ事を大橋さんも言われています。私は演奏を通して、大橋さんはオーディオの実践を通して音楽に触れていますが、大事にするものが同じであれば立場が違っても出てくる結論は同じだという事です。


9.9

 今日はお昼前にサンバレーの大橋さんがいらっしゃいました。

 1階のStirlingとRogers、2階のDevonを聴いて頂きました。

後ろは常用のStirling、前はSV-9Tで蘇ったRogers 聴き較べに登場した私の楽器と弓

 最初は普段聴いているStirlingを聴いて頂き、次に左の写真のようにRogersのLS5/9をSV-9Tで鳴らしたのを聴いて頂きました。RogersはこのSV-9Tでキリッとした音が前に出てくるようになり、300Bのシングルアンプで鳴らすのとはかなり印象が違います。今までプッシュプルアンプは私の好みに合わないと思っていたのですが、Rogersの場合には出力は小さくてもプッシュプルアンプが合うようです。
  その後私の持っている楽器2台と弓3本の全部で6通りの組み合わせの聴き較べをして頂きました。(楽器も弓もそれぞれクラスが2〜3段階違うもので、違いは割に分かりやすいと思います。)一つずつ聴くとあまり意識しない楽器と弓の違いも、このように一度に聴き較べるとその違いが明瞭に分かると思います。(音の伸びや深みについての大橋さんの感想はとても参考になり、さすがに試聴に慣れていらっしゃるなと思いました。だからこそ試聴をお願いするのですが........比較試聴に慣れていらっしゃらないとどうでも良いような事に拘り、本質的な部分を聞き逃してしまうケースがとても多いです。)
 その後2階に上がり、お昼を食べながらDevonを聴いて頂きました。 1階のStirlingと2階のDevonのシステムはとても同じTANNOYのスピーカーとは思えないくらいキャラクターが異なります。Stirlingはまだ手に入れて1〜2年の若い音がしていてまだコーン紙も鳴り切っていない感じですが、Devonの方は音の粒子がとても細かくスピーカーからの音離れがとても良く聞こえます。奏法などを聴きたい時はStirlingと真っ正面から向き合って聴き込みますが、お茶とケーキを楽しみながらというようなケースではDevonのシステムで聴きます。大橋さんは2階のDevonのシステムの雰囲気には、音量を絞って聴く聴き方が似合っているというご感想でした。Devonはかなり音量を絞り込んでも音が死なないです。
 色々なCDを聴いたり、インターネットのお話をしたりでアッという間に楽しい時間が過ぎてしまいました。大橋さん、また東京にいらっしゃったら是非家にお寄り下さい。大橋さんのご感想はこちら(9月9日の分)をごらん下さい。


9.8

 今日は午前中に新しいホールを見に行く予定にしていたのですが、ドアホンの動作不良を見てもらうために結局ホールは見に行けませんでした。今年は夏休みからこの方インターホンの動作不良に悩まされっぱなしです。

 明日はサンバレーの大橋さんがいらっしゃいます。色々な方のステレオを見ていらっしゃるので、私のセッティングについて有益なご意見をいただけるであろうと期待しています。私は音を聴きながら半ば本能的に響きを調整しているので、思わぬ落とし穴があるのではないかと心配なのです。
 私は自分が普段自分も含めて色々な人が弾くのを近くで聴いて、ヴァイオリンならこういう音で聴きたい、ピアノならこういう音というイメージはとても強く持っています。ですからステレオから出てきた音を聴くと無意識で自分の好みの音に調整してしまいます。この作業が会場に合わせて音を替えるのとほぼ同等の本能的な作業として行ってしまうので、その結果を色々な音を聴かれた経験から評価していただきたいのです。この作業は経験豊富であると同時に、私の音楽に対する好みを分かっていただいていないと、色々言って頂いても何の役にも立たないのです。
  例えば私は「松やにの飛び散るような音」など求めていません。大体松やにの飛び散る音などないし、松やにを飛び散るほど弓につけるのは間違いです。ごくまれにアタックとともに強い擦過音が聞こえる事があります。それを松やにが飛ぶような音といっているのでしょうが、これは一生懸命弾いている事をアピールする為の単なる薬味でしかないのです。ですから松やにの飛び散る音を求めてステレオを聴くなどハッキリ言って見当違いです。(このような音は音を遠くに飛ばす為の大切な要素である事はたしかです。でもこの音は全体から言うと香辛料の役を果たしているだけです。)
  私はどちらかというと大編成の曲よりソロとか室内楽くらいの大きさの曲を多く聴くので、時に大編成の曲を聴くと「あれっ?」と思う所があります。そこら辺について大橋さんのご意見を伺いたいと思っています。特に2階のDevonの音についてはちょっと疑問な所があります。


9.7

 今日は昨日預けたFINKELの弓を取りに行ってきました。その後秋葉原でCDを探してきました。目的は火の鳥のCDだったのですが、 偶然Ruggiero RicciのDECCAの1950〜1960年のレコーディングを見つけ思わず買ってしまいました。パガニーニのキャプリースや協奏曲第1番と2番など全5枚組のCDです。1918年生まれだそうですから、32〜42歳の若い頃の演奏です。前はRicciのCDはほとんど持っていなかったのですが、最近色々買い込み今ではRicciのCDは10枚くらい持っています。
 最初は渋谷に行くつもりだったのですが、車を置くまでが時間がかかって面倒なので秋葉原に行きました。ホールの演奏会の時などいつも行く渋谷ですが、私はどうしても渋谷という街好きになれません。

 今Ricciの弾くパガニーニの2番のヴァイオリン協奏曲を聴いています。これは前に私がレコードで持っていた1番と2番のCD版のようです。これを聴きながらそのレコードを探したのですが、見つかりません。アンソニー・コリンズ指揮のロンドン交響楽団の伴奏です。この2番は1番と較べると圧倒的に演奏される機会が少ない曲です。3楽章のラ・カンパネラで有名な曲です。

 日本海側は台風18号に襲われて大変な被害が出ているようです。N響は幸運な事にこの前の16号も今回の18号も1日ずれているので、ほとんど影響がなかったようです。本当にN響は強運の持ち主です。(N響は今日旭川から帰ってきました。1日ずれていたら飛行機に甚大な影響があったでしょう。ですから強運の持ち主だというのです。)


9.6

 今日は毛替えに行ってきました。毛替えというのは手間なのでどうしても間が開いてしまうのですが、今回もかなり間が開いてしまいました。Fetiqueを毛替えしてもらいました。私の持っている弓の中ではFetiqueが一番使う機会が多いので、2〜3ヶ月もすると引っ掛かりが無くなってしまいます。でも何となくそのままにしておくと、それに慣れてしまってそういうものだと思ってしまいます。毛替えすると弓の毛を張った時の手応えからして全然違います。

 今週の木曜日に私のオーディオのコンサルタント、サンバレーの大橋さんが我が家にいらっしゃいます。Stirlingを聴きに来ていただくのです。折角の機会なので、私の持っているヴァイオリン2台と弓3本の聴き較べもしていただこうと思っています。私にとっては大橋さんは2人目のオーディオの相談役です。1人目は昨年の6月にリタイアされた方で、入団当時からつい最近まで色々なものを紹介して下さいました。今度の大橋さんは私が真空管アンプにはまってしばらくしてからおつきあいが始まりました。大橋さんは自分の所の製品を売り込む事が一番の目的ではなく、皆さんに物作りの楽しさとオーディオの楽しさを分かって欲しいという事が念頭にあるのです。ですから普通に考えると原価割れのような価格で次から次へと挑戦的な企画を打ち出していらっしゃいます。それぞれのアンプがとてもハッキリした主張を持っていて、二股をかけたような中途半端さがない所がとても気に入っています。(ですから私には合わないアンプのシリーズがある事もたしかです。でも用途によってそういうアンプを必要とする方にはとても良い選択肢だと思います。)
 普段私がよく楽器より弾き手が問題だと書いている事の意味を是非とも分かっていただきたいと思って、楽器と弓の弾き較べを聴いていただこうと思いついたのです。演奏する者にとっては日常の出来事でも、聴かれる方にとっては滅多にないとても面白い経験だと思います。
 大橋さんにはお忙しい中を来ていただくので、出来るだけ要点だけを聴いていただけるようにしたいと思っていますが果たしてどうなる事か.......?


9.5

 今日はN響は帯広の演奏会をしているはずです。練習の日に台風16号に悩まされたようですが、その後は順調に旅行を続けていると思います。今回出番のはずのYさんの近況報告がこの前の東北旅行のまま更新されていないので様子が分かりません。今回の旅行にはパソコンを持って行っていないのでしょう。今回の北海道旅行は明日の旭川を残すのみです。

 今年の秋のシーズンからはN響のスケジュールもかなり変わります。一番の違いはA定期が今までの木曜金曜から土曜日曜に変更になり、土曜日は18:00〜、日曜日は15:00〜となる事です。それにつれて間違いをなくす為に土曜日の14:00〜だったC定期の2日目土曜日が15:00〜に変わりました。(会員の皆さまはこの時間変更にご注意下さい。)これによって飛行機や新幹線を使えばかなり遠くの方でもマチネの公演を聴いていただけるようになりました。今まで生の音を聴けなかった地方の方にも是非これを機会にホールまでいらしていただきたいものです。

 私の家もやっとリフォームがほぼ完成しました。(まだ窓の手すりとかカーテンなど細かい所は残っています。)輸入物の玄関ドアの入荷の遅れなどもあって5月に始まったリフォームが9月までかかってしまいました。このリフォームの途中に今まで使っていたパナソニックのホームテレフォンが通話中に切れるようになり松下に電話をしてみたら、今ではホームセキュリティ付のホームテレフォンは廃版になっているとの事でした。NTTも今ではこういうホームテレフォンはやっていないとの事、今のまま何とか使うか根本的に入れ替えるかの選択を迫られました。結局今何とか使えるように出来たとしても、また10年も経てば必ず同じ問題が起きるでしょう。それならという事で今回電話はNTT、インターフォンはアイホンという風にハッキリ分ける事にしました。その事もあって先月の半ばから何日も潰されてしまいました。
 私の家が出来た15年前と較べると今の防犯関連の器具の進歩はすごいものがあります。玄関ドアの鍵なども今ではディンプル式になっていてキーはコピー出来ないようですし、電気錠についてもとても機能は上がっています。(その意味では輸入住宅は昔から犯罪の多かったアメリカのものですから、窓の部材なども防犯の事はとてもよく考えられています。日本のアルミサッシのように鍵の部分が外から丸見えというような事はなく、鍵の部分は外からは直視出来ない構造になっています。また窓用の防犯ストッパーが逸品なのです。)

 今日昼過ぎに買い物の為に家の周りを運転したのですが、これほどまでに渋滞が激しいとは知りませんでした。家から何百メートルの所にあるショッピングセンターのおかげで家の近くはどこもかしこも大渋滞です。ホンの何百メートルを通過するのに30分以上もかかってしまいました。それにしても本当に土日はどこの交差点も普段運転しない人が自分の事しか考えずに交差点に頭を突っ込むので大混雑です。その上ちょっとバックすればすむ所も前に出てくるので動きが取れなくなっています。こうなると日曜日の午後などどこが混むのかよく知っていないと無駄な時間ばかりかかってしまいます。(こういう日でも市川インターから家までは素晴らしい抜け道があり、かかってもせいぜい10分で家に着けます。でも慣れないととても通れないすごい道です。)


9.4

 昨日書いたオーディションの話の続きです。多くの人が弾き間違えると弾きながら「あ〜〜ぁ!」という態度をするのです。演奏には弾き間違いは付き物、1個所ぐらい間違えたからといっていちいち落ち込んでいたら演奏などやっていられません。私は審査の時は間違えた時にそこからどうやって持ち直すか、あるいはそのまま沈んでしまうのかが一番見たい所なのです。名演奏家のCDを聴いていても1個所も間違いのない演奏など聴いた事ありません。この前のオリンピックの柔道で相手に先に有効や技ありをとられるのと同じ事です。それをやられて落ち込んでしまったらもうそのままどんどん受けに回って自滅するのみです。そこで思い直して一本を決めに行けるかどうかで勝負が決まるのです。演奏で言えばそのちょっとした間違いをきっかけに、「ああ、間違えてしまった。でもやってしまった事は事実なのだから、この後は出来るだけ頑張ろう!」と思い直して頑張れるかが分かれ道なのです。

 今日サンバレーの店主のひとりごとを見ていたら、音の遠達性について書いてありました。弦楽器選びでも一番重要視されるのはやはり音の遠達性でしょう。おとといも書いたように音色はかなりの部分腕でカバー出来るのですが、音の遠達力は楽器自体の持つ特性です。Stradivariusが何故もてはやされるかというとその会場の隅まで染み入るような音の遠達力のせいです。音の芯が会場の隅まで通るのがStradの魅力なのです。(但し誰がStradを弾いても音が遠くまで届くという事ではありません。これはピアノについても同じ事が言え、同じ楽器でも弾く人によってまるで違う音が出てきます。[良い楽器と悪い楽器の違いくらい違う事もあります。]要は弾き手の音に対するイメージとそれを表現する技術があるかどうかなのです。更に言うと出てきた音を聴いてそれが良い音かどうか分かるのは聴き手の経験と技量によります。音は消えてしまうので何をどう言っても証拠が残らないのですが.........)


9.3

 今日午後からあるオーディションがありその審査をしました。今までも何回か同じオーディションの審査はしてきていますが、今回は今までとは違う感触を得ました。このオーディションは自由曲なのですが、今回は今までとは違って難曲のオンパレードでした。
 今では学生といっても技術的にはレベルはとても上がってきていています。ですが聴いていてホンのちょっとした、でもとても基本的な部分が気になりました。それはヴァイオリンの持ち方の力の配分です。言葉では説明しがたいのですが、ちょっと直せばもっとずっと楽に弾けるのに、と感じさせられる人ばかりでした。若いうちは力任せでもある程度弾けるのですが、やはり無駄な力を使わない事に気を配らないと聴いている人へのアピールが今一つという感じになってしまいます。審査しているのに途中で止めて「こうしたらもっと楽に弾けるよ!」とアドバイスしてあげたくなりました。
 同時に全体に気になったのが、今の人たちは気張らないで弾くので難しい曲もそれなりに弾くのですが、演奏に最も必要な気の張りが不足しているのがとても気になりました。逆に言うとそういう感じだから難しいところも空回りせずにある程度弾けるのでしょう。でも聴いていて「なんでわざわざその曲を弾いているの?」という質問をしたくなるような演奏が多かった事もたしかです。妙に物分かりがよく、聴いていると自分はこの程度という諦めがすごくよく見えるのです。折角オーディションという場に出てきているのにもったいないなとつくづく思わされました。
 とは言ってもみなそれなりに頑張っていて、今日は聴いていてとても楽しめました。

帰ってきたらスリッパが昼寝から醒めて毛繕いの真っ最中

9.2

 昨日の話の続きです。私にとっても音色はとても大切な要素ですから、自分で聴く場合には勿論出来るだけ良い装置で聴くように努力します。音色は昨日書いた生命感にスパイスとして効くものなのです。音楽の3要素リズム、メロディー、ハーモニーを裏から支える素材としての音色は、私達演奏家にとっては生命線でもあります。ですからステレオを聴く中で音色が聞き取れるか聞き取れないかは天地ほどの違いがある事は認めます。
 ですがその音色というものは音楽の3要素とテンポ、音程が正しくとれているというプロとして当然の前提条件が満たされた上で初めて問題になる事です。 無心に音楽というか演奏を聴いた時に心に一番響くのは音色ではなく、やはり生命力が一番大切な要素だと思います。(生命力というのはテンポが速ければ良いという単純な話ではありません。同じテンポでも生命力は人によって違うのです。)同じ演奏をする場合良い楽器で弾いた方が良い音がするのは当たり前です。でも普段は3億位のStradを弾いている名演奏家が、例えば何十万の楽器を弾くと不思議な事にとても何十万とは思えない良い音がするのです。何億と何十万の違いを越えて演奏家の腕が物を言ってしまうのが演奏の怖さなのです。ですからステレオで聴いて名演奏に聞こえたからといってそれがその装置が良い事の証拠にはならないのです。同様に名器を使ったから良い演奏になっているのではありません。安い楽器で弾いても名演は名演なのです。それを聞き分けるという事こそその人の音楽性です。(それを言葉でどう表現出来るかという事とはまた違う次元の話です。批評の難しさはここにあるのだと思います。一見立派そうな言葉が並んでいても、読んでみると何を言っているのか皆目分からないのでは竜頭蛇尾........!)
 ステレオでも全く同じ事が言えて、器械が10万しかしなくても普段良い音で聴いている人は無意識でその音に近づくようにセッティングなどの条件を整えて「音楽性のある」音を引き出してしまうのです。ですからその人が出す音はその人の音楽的センスを厳しく表してしまいます。(要するに楽器と同じで持ち物が物を言うのではなく、使いこなしが物を言うのです。音を聴いてその人の性格まで分かるかどうかは議論の分かれるところですが、私自身は全ては分からないにしても演奏[音楽の再生も含めて]を聴けばその人となりはある程度は分かります。これこそが私がN響で長年弾いてきた経験から得た財産です。音にその人となりはいやでも出てくるものです。例えば演奏する時の音量...たったこれだけの事からでも色々な事が分かります。)ですから私にとっては人に自分のステレオを聴いていただく事は自分の演奏を聴かれるのと全く同じなのです。


9.1

 今日のサンバレーのキット屋店主のひとりごとに私が真空管にのめり込んだのと同じような話が出ていたのでご紹介します。私も今から3年前の2001年の5月29日に同僚のYさんに6BM8のシングルアンプ、エレキットのTU-870を貸してもらったのがすべての始まりでした。たった2Wの20000円しかしないアンプからこんな音が出るとはちょっと信じられないカルチャー・ショックでした。たしかにもっと高い高性能なアンプを聴けば更に良い音は聴けますが、一番大切な部分はTU-870でもちゃんと聞き取れるのです。
 音楽の最も大切な要素生命感はリズムとテンポ感から生まれるものです。そのリズムとテンポはラジカセでも分かるものです。(それを聞き取るのに音質は関係ないからです。)たしかに音質は大切ですが、音楽は時間の上に成り立つ芸術です。静的なものではなく動的なものなのです。私達演奏する立場から言うと、音質をどうのこうの言う前に正しいテンポで正しいリズムで正しい音程で演奏出来なければ、音楽の基本を満たしていないのです。
 その生命感を聞き取れるようになってから、音色を少しずつ深めて行くのが良い方法だと思います。どうやったら音楽が分かるか悩むより、音楽に合わせて手をたたいて拍子を取るというごく単純な事をやってみる方がはるかに収穫があるものです。こんな簡単な事誰でも出来ると皆バカにしますが、実際にやってみると音楽にピッタリ合わせて手をたたくというのはとても難しいのです。(例えばシュトラウスのポルカでよく会場で手拍子をとりますが、その手拍子は必ずオケより遅れているものです。音を聴いてから手を叩いたのでは必ず遅れるのです。音を聴きながら先を予想して手を叩かないといけないのです。これこそが合奏の一番の基本です。)そういう練習をして色々な音楽を聴いてみると、音楽を聴くのに高い装置はいらないという事がよく分かります。また音程やハーモニーを聞き取るのにも高い装置は必要ありません。(むしろ耳の訓練をした方が良かったりして......?)
 勿論高い装置にはそれなりの良さがあるでしょう。というか良さがなければ売れないでしょう。でもそれが自分が音楽を聴く時に必要なのだろうかと考えると、私達演奏する人間はそんな高い装置は必要としないのです。 音楽の3要素(リズム、メロディー、ハーモニー)を聞き取るのに高い装置はいらないのです。私は理学部出身ですから少しでも性能の良いもので聴きたいという夢があります。でもそれに高い金をかけるくらいならソフトをたくさん買った方がはるかに意味があると思っています。いくら良い器械を持っていてもCDやレコードを数えるほどしか持っていないのだったら意味がありません。(音楽を聴く事が目的という大前提で言っていますから、音楽などどうでも良く器械自慢をする事が目的ならそれはそれで別の世界の出来事.......どうぞご自由に。私達とは接点のない話です。)


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