ステレオ(2010年版) 


私が家で音楽を聴くためのステレオをご紹介します。

 ヴァイオリン弾きである私が自分の勉強と楽しみのために聴いているステレオです。リビングと家の中の3つのレッスン室にステレオを置いています。
 第一に音の芯がしっかり伝わること、そして音の質感密度感スピード感が全帯域で同じであること、そしてステレオの存在を忘れられる事が私の求める条件です。私にとってスピーカーから出る音は広帯域で分離が良い事より、まとまりの良い事の方が大事です。そういう条件のもと集めたのが私のシステムです。


ひとりごとの中でステレオについて書いた事を「オーディオの小道」というページにまとめました。


リビングのシステム

スピーカー:TANNOY Stirling HE+ST25
メインアンプ:サンバレー mini91B(低域)
      +佐藤さん作42シングル(高域)
プリアンプ:サンバレー SV722 Macintosh型
CD:CEC TL-51X
DAC:サンバレー SV-192S
プレーヤー:リンソンデックLP12
カ−トリッジ:Ortofon Kontrapunkt b
MC昇圧トランス:Ortofon T1000

 Stirlingに組み合わせたスーパーツイーターST25はレベルは85dBクロスオーバー周波数は18kHzに設定しています。この最も弱くスーパーツイーターを効かせる設定が一番バランスが良く聞こえます。なおStirlingのツイーターのレベルは中央にしています。
 CDプレーヤー関係はCECのベルトドライブのTL-51XとSV-192Sの組み合わせになりました。
 アナログプレーヤーはLINNのLP12です。カートリッジはKontrapunkt b、それをORTOFONのT-1000で昇圧して、SV-722のMM端子に入れています。
 プリアンプはサンバレーのプリアンプSV-722 Macintosh型です。プリアンプは管にする必要はないというのが定説ですが、音楽の芯を伝えてくれるという点と音の密度の点でかなりの表現力の違いがあります。
 メインアンプは中低域をサンバレーのmini91B、高域をサンバレーの佐藤さんの作られた42シングルアンプを使って、バイアンプ駆動をしています。


私のレッスン室

 1階のレッスン室はTANNOYのDevonとRogersのLS5/9がメインです。

スピーカー: TANNOY Devon+ST25
メインアンプ:サンバレーSV-91B

スピーカー: Rogers LS5/9
メインアンプ:サンバレーSV-4

プリアンプ:サンバレーSV-310
CD:MYRYAD MCD500
チューナー:サンバレーSV-11FM
プレーヤー:サンバレーSV-A1
カートリッジ:Ortofon SPU
EQアンプ:サンバレーSV-310 EQ

 Devonは下の写真のように今まで通りの位置ですが、Rogersは長辺側の作り付けのラックの両側に置いています。レコードプレーヤーとスピーカーRogersのLS5/9は近いのですが、ハウリングは起きていません。御影石と防振ゴムが効いているのでしょう。スピーカーのセッティングについてはあまり納得はいっていませんが、良いアイデアが浮かばないので、今はこういう変則的な置き方のままです。

 2004年4月にエッジを張り替えたDevonは、買ってから25年以上経ち、よく鳴らし込んであるので音は軽く出てきます。スーパーツイーターST-25を追加したら音に重量感がプラスされて良い感じになりました。(スーパーツイーターを加えたら全域にわたって効果が見えました。)
 今までなかなか思ったように鳴らなかったRogersのLS5/9ですが、SV-9tそしてなんと言ってもSV-4という良い相棒を得てDevonに並んで定位置を確保しました。

 SV-310はボリュームを下げていても音が痩せません。また反応自体はとても高速なのですが、聴いていると曲の進行がゆったり聞こえてくる不思議な感触のプリです。表現力のあるプリに共通した表現で、2階のSV-722も同じ傾向を持っています。(どちらかと言うとSV-310の方がその傾向は強いです。)音の立ち上がりから収束まですごくよく聴き取れるのです。

 入力関係はCDプレーヤーはMYRYADのMCD500、レコード(アナログ)はサンバレーのSV-A1(カートリッジはORTOFONのSPU-G)+SV-310EQ(イクォライザー)、そしてFMはケーブルテレビのラインからFMの信号をとれなくなってしまい、今は開店休業です。
 SV-310EQ+SV-310+SV91Bというラインナップは今では実現出来なくなってしまいましたが、大事に使っていこうと思っています。

 リビングとこのレッスン室のステレオのセッティングについてはサンバレーの店主のひとりごとがとても参考になっています。皆様も是非お読みになって下さい。


1階の小さいレッスン室

 1階の玄関脇の小さいレッスン室に置くセットです。

スピーカー: TANNOY Autograph mini+Pioneer PT-R4
メインアンプ:サンバレーSV-501 SE
プリアンプ:サンバレーSV-20D
CD:CEC TL-51X
DAC:サンバレーModel2
プレーヤー:REGA Planar25
カートリッジ:Ortofon Kontrapunkt a

 CDとレコードが聴けて、できたらMacのiTunesの曲も鳴らしたい、という事でプリはUSB入力のあるSV-20Dにしました。本当はこの樽プリSV-20Dとmini91Bを組み合わせると見た目もよくまとまるな、と思っていたのですが、色々聴いているうちにリビングのSV-501 SEが思いの外にAutograph miniを鳴らしてくれるし、mini91BがStirlingをよく鳴らしてくれるので、このような組み合わせになりました。
 この部屋の主役Autogrqph miniはとても気難しいスピーカーで、なかなか思ったように鳴らないとても手強いスピーカーです。最初はVP-mini300MkIIとmini91Bのどちらにするか、なかなか決まりませんでした。今まで大体一発で組み合わせを決められた私にはとても珍しい事です。結局最初に思った通りmini91Bにしたのですが、それでもなかなか思ったように鳴ってくれませんでした。そのうち試しにSV-501 SEで鳴らしてみたら今までの不満が見事に解消されました。

離れのレッスン室

 今まで1階の小さなレッスン室に置いていたkitLS3/5Aを中心するSV-9t+SV-14LB+ARCAMのFMJ23T(DACは内蔵を使っています。)というセットを置いています。

 この部屋では昔のカセットテープやMDを聴くので、そのプレーヤーが置いてあります。


性格の異なる3つの300Bアンプ(mini91BとSV-91B、SV-501 SE)

 今リビングではmini91Bを、1階のレッスン室ではSV-91Bを、1階のもう1つのレッスン室ではSV-501 SEを使っています。
 最初はリビングにSV-501 SEを、1階レッスン室にSV-91Bを置いていました。でも玄関脇のレッスン室にもセットを置きたくなり、スピーカーにAutograph miniを選んでから少し事情が変わりました。リビングは寛いで聴くセット、レッスン室は細かく聴くセットにしたいという基本的なスタンスは変わりありませんが、スピーカーをよく鳴らせるアンプを選ぶという観点から組み合わせを作ったら、今のようになりました。今でも一番自分の感覚にピッタリ合うのはSV-91Bです。
 SV-91BとSV-501 SEの違いについては、以前に書いたものを下に引用します。

 私達演奏家が忘れてはならない音の厚みを出す事などはそれこそ91Bの独壇場でしょう。(音と音がいつもつながっていて(legato)、それでいて1音1音発音はハッキリしないといけないのです。お茶漬けサラサラではいけないのです。この感覚を日本で[特に和風の住宅で]持ち続けるのはとても難しいです。この感覚は91Bの方がよく表現できています。)それに91でジックリ聴いたソースを501で聴くと、何かサラッと流れて行ってしまうような気がするのも事実です。でも91Bではあまり出てこない色彩感が、501 SEではよく聞こえてくるのもまた事実。

 これにAutograph miniとmini91Bが加わり、選択肢がとても増えました。そこでまず一番鳴らしにくいautograph miniを一番鳴らしてくれるアンプを選んだら、それがSV-501 SEでした。次にmini91BでStirlingを鳴らしたら、これもなかなか良くなってくれました。そこでSV-91B+Devonは崩さずに、SV-501 SEをAutograph miniの相棒にしたわけです。
 私は音の幅と厚みを大事にしたいので、このような結果になりました。音の拡がりや流麗さを大事にする方だとSV-91Bではなく、SV-501 SEやVP-mini300MkIIを選ばれるでしょう。私たちの世代のプレーヤーはSV-91Bに魅かれる人が多いですが、もっと若い世代の人はより流麗な音に魅かれるようです。ステレオの選び方にも年代の特徴がよく表れています。


スピーカーのセッティング

 今までスピーカースタンドの下にはコーリアンを敷いていました。でも宮城さんがブログで奨められている御影石のボードを試してみたら、なかなか良かったでした。ただ私は御影石のボードをスタンドと床の間に敷くのではなく、スタンドとスピーカーの間に敷いています。この状態だと御影石のボードはちょっと触っただけで動いてしまうので、スタンドと御影石の間に防振ゴムを入れています。音も防振ゴムを入れないと硬過ぎるのが、防振ゴムを入れるとちょうど良くなりました。そして御影石とスピーカーの間には最初は真鍮&ステンレスインシュレーターを入れていましたが、7月頃からは黒檀のブロックを使うようになりました。DevonとRogersは4cm角、Autograph miniは3cm角のものを使っています。

 これはAutograph miniですが、他のスピーカーについても同様です。いずれも前2点の3点支持にしています。Stirlingはスパイクがねじ込まれているので、黒檀のブロックを使うなら方法を考えないといけません。

 一度鳴らせたと思ったスピーカーでも、しばらく経ってもう1度聴いてみると、別の面が見えてきます。同じスピーカーでも使い方1つでまるで違う面を見せてくれます。縁あって手に入れたスピーカーを何年も使って、やっと今の使い方が分かったのですから、すぐに手放してしまうのはもったいないです。もっとも飽きたらどんどん手放してくれる人がいるからこそ、新古品が安く手に入るのですから、こちらは大歓迎ですが......


私が求める音

 私はCDやレコードを聴く時、演奏家の意図がよく分かるように会場の客席で聞こえる音を聴くように心がけています。ですが弾き方のヒントを得たい時は、演奏家と同じステージの上で少し離れた音を聴くようにしています。(近すぎると迫力はたしかにありますが、全体のバランスが悪過ぎて全体の構成が聞き取れないからです。それに音を遠くに飛ばす演奏雑音が強過ぎます。)
 指や弓が弦にあたる音はたしかに面白いでしょうが、バランスの面から言うとやり過ぎです。

 音楽は生命への賛歌です。常に時間に支配されながらも生きていく喜びを音で表現しているわけです。音楽を聴く時、演奏の技術や音色、音楽性も勿論大切なのですが、一番感動するのは何といってもその演奏の生命力に対してです。その生命力はテンポとリズムにあります。たとえ音色などは充分に表現されなくても、演奏の一番根幹をなす生命力(テンポとリズム)はスペックの劣る媒体を通しても、充分聞き取る事ができ感動できるのです。
  その音楽を装置を通して聴かせるオーディオの世界では良い音が出ている時に、それが演奏が良いからなのか装置が良いからなのかを分けて考えていないのです。良い再生装置というのは何を聴いても良い音がするのではありません。良い演奏は良く、つまらない演奏はつまらなく、真の姿を伝えなければ良い装置ではありません。そういう良い装置で聴くのはある意味とても厳しいものです。

 音楽の中核をなし、聴く人に最も訴えかけるのは中域の音です。ですから古い録音や器械でも中域がしっかり出ている物はいつの世でも良い評価を得ます。前にご紹介した結合音の例を見ても、音は倍音だけで出来上がっているのではありません。(この結合音は奏者の近くでは聞こえますが、離れると聞こえません。つまり客席で聴いている人には意識される事のない現象です。)
  また音楽は正弦波の重ね合わせで表現出来るものではありません。(正弦波の重ね合わせは近似的に定常状態の場合には有効な分析法です。)音楽は過渡的現象と言われる例外的な現象の連続なのです。理論的には倍音列を出来るだけ上まで再現すれば生の音に近くなる筈なのに、実際は違和感のみが強調されてしまいます。

 要するに活き活きとした楽しい音を聴ければ、方式など何でも良いのです。例えば直熱3極管300Bシングルとビーム管KT66プッシュプルの出す音が思いの外に近いのです。スピーカーが決まると音の基本的キャラクターが決まるので、それを最大限活かせるアンプを探すという順で決めていくのが良いでしょう。
 今にして思うのは一番影響力が大きいのは部屋の音響です。ですから上に書いたような現象(300BシングルとKT66プッシュプルの話)が起こるのでしょう。


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