奏法 


ワンポイントアドバイス その1:立ち方

ヴァイオリンを弾くうえで何と言っても大事なことは、立ち方です。

足を肩幅以上に開いて、足、腰、肩の線がねじれないようにする。
体重はつま先に7、かかとに3位の割合でかけるようにする。


楽器を構えるまで

楽器を構えるときに一番大切なことは体に余計な力を入れないことです。また呼吸を止めないことです。楽器は肩に載せるもので、顎で押さえるものではありません。(こうすると肩当てはほとんど必要ありません。)また右手も脱力が大切です。必要な力は入れなければいけませんが、無駄な力は抜きましょう。


楽器の構え方

まず最初に楽器の持ち方は、顎と肩で楽器を挟むのではなく、肩の上に楽器を載せるのだということを銘記して下さい。まず左手を写 真のように右肩にのせて下さい。その時左肩が少し前に出ます。その感じをよく覚えて下さい。手伝ってくれる人がいる場合は、楽器を肩にのせてもらいます。自分でやる場合はこの写 真の状態をよく覚えて、左肩を少し前に出してそこに楽器を載せます。楽器を肩と左手で支えて、顎を顎当てにのせます。そうすると楽器を楽に持てるし、顎に力が入らないですみます。楽器の先の高さもこのように持つと左手でどのようにもできます。
左肩はこの写真のような構えの時より高くても低くても不自然になります。特に力が入って肩が上がるのは絶対にいけません。ですが、肩を下げすぎると顎と鎖骨だけで持つことになり顎が力んでしまいます。

楽器を持つ時は楽器を身体の前方で支えた方が良いです。(右手もそれに合わせて肘を前に出して下さい。)楽器と弓を自分の身体の方に引き寄せるのではありません。(そのように持つと自分の身体が邪魔になってしまうからです。)


弓の張り方

皆さんは弾くときに弓をどのくらい張りますか?これは個人差がとても大きいです。同じ弓でもほとんど張らない場合、少し張った状態、かなり張った状態でそれぞれ反応が異なります。
どれが良いかは一概に言えません。それぞれ良さと悪さがあります。今言った3つの張り方で弾いてみて自分の感覚に合った張り方を見つけて下さい。
また弓によっても違います。弓によってはこれが同じ弓かと思うくらい変わることがあります。

ただ弓の木が反対に反るほど張るのだけは絶対にダメです。急に楽器が乾燥するような時には是非注意して下さい。


弾けるようになるということ

人前で弾こうとすると、思うように弾けないものです。症状は人によって違いますが、基本的には強迫観念が引き金になっています。誰でも弾こうと構えた時にたとえば「大きい音を出そう」とか「柔らかい音を出そう」とか「楽器をしっかり持とう」とか考えています。たとえば「大きい音を出そう」と思っていると、大きい音を出そうとして無意識のうちに力むのです。これが習慣になってしまうと、構えた時から力んでしまうのです。しかし本人はそれが悪いとは夢にも思っていないので、それが諸悪の根源だとは気がつかないのです。
こういうことは一生懸命上手に弾こうとする人ほど陥りやすい欠点です。こうやったら良くなるはずという先入観念が思いもかけないところで弾き手を邪魔しているものです。

結論的には皆さんが悩んでいることを普段とは違う角度から見て、先入観念なしにやって欲しいのです。(これは当然だよなと思うようなことも見直して下さい。案外その当然だと思うことが悪さの原因だったりします。)そういう事を解決するために先生がいるのです。ぜひ先生に解決法を聞いて下さい。


アマチュアオーケストラクリニックで配ったチラシ

楽器について

楽器は10万位から億の単位の物まであります。楽器、弓に妙にこだわらないことが大切です。まず自分の楽器の全てを発揮させて下さい。自分で何が今の楽器に不足しているのか解らないうちは新しい楽器にする必要はありません。自分で判断できないような高価なものを買う必要もありません。

持ち方、立ち方
立ち方

立ち方を再確認しましょう。
1.両足を肩幅に開く
2.足先を開く
3.左足を少し前に出す
4.左肩を少し前に出す

(その時体をねじらないで、足//腰//肩に気をつける。) 

持ち方
楽器

楽器を鎖骨の上に載せる感じで持ち、楽器は鎖骨と左手で支える。楽器は顎と肩で万力のように挟むものではありません。


持ち方の基本
1.親指と中指を向かい合わせ、その間に弓を持つ
2.指は不必要に開かない
3.前腕と手首から先は一直線に
4.弓は45度くらい傾ける
指先で弓をつまむようにするのではありません。

イスの座り方

立っているときと同じ状態にすることが大切です。イスに深く腰掛けないで下さい。特に上体をイスの背にあずけないことです。

隣の人との関係

1つの譜面を2人で見ているのです。特に自分の弓先が相手の邪魔になっていないかに気をつけて下さい。また譜面 台を独り占めしないで下さい。相手のイスに座ってみてどう見えるか確認して見て下さい。

相手と同じ距離に座って自分が譜面を見にくいのなら眼鏡を調整して、相手に迷惑をかけないようにしてください。表の人は楽器の先が譜面 台の左端に向くように、裏の人は右手が表側の人を邪魔しないように気をつけて下さい。

準備(演奏する時)

自分が弾き出すに際し、指と弓の準備、気持ちの準備をしておくことは当然のことです。(才能教育で言う「1指、2弓、3発車」です。)弾く準備は遅くとも2拍前にすませておいて下さい。準備の前提条件は拍を数えることです。

拍子の数え方には3通りの方法があります。
1.譜面のガイド
2.耳で聴く
3.指で数える

新しいところ練習の仕方

まず右手と左手の問題を分離することが大切です。

右手
基本的な奏法の練習としては音階をデタッシェ、スタッカート、レガートで弾いて下さい。部分練習としてはその部分を歌いながら弾くまねをすると、早く自分を納得させられます。

左手
部分練習は右手と同じく歌いながら左手を動かしてみて下さい。更にリズム変奏をしてみて下さい。

片方づつ出来るようになったら、ゆっくり両方を一緒にやってみることです。その時ゆっくり弾きながら出来上がりのような表情をつけて練習して下さい。そうやってもうまく出来ない部分は更にゆっくり練習して下さい。


ヴァイオリン奏法に関する本について

 カール・フレッシュやガラミアンのような具体的な弾き方を書いた本ではなく、弾くことに対するイメージについて書いた本として私が読んで面 白いと思ったのは、ドミニク・オプノというフランス人の女性の書いた「内なるヴァイオリン」(演奏についての考察という副題を持つ。音楽之友社から出ています。)です。私がこの本が気に入っているのは左の写 真の通りイラストがとても分かりやすくて要領を得ているからです。

 ただ残念ながらこの本を読むのはとても忍耐力を必要とします。というのは私などこの本を読んでいると、同じところを何回も読んでもよく意味が分からず、結局通 してはなかなか読めないのです。このイラストから見てもっと読みやすい本だと思うのですが、正確に訳そうということが先行して、文章についてはイラストに見られるリズム感がなくなっているような気がするのです。これほど難しい表現だと楽器を弾く人に読めと言ってもほとんどの人が途中で投げ出してしまいます。

 その点を別にすると、この本の中には面白い指摘がたくさんあり、参考になります。